ベッサ−Rロードテスト(2000.03.24)

 最近はライカライカと騒いでいた私ですが、そもそも、メイン機ニコンF3をサポートするサブ機として、

・小型軽量である。
・頑丈である。
・システム(レンズとの組み合わせが)が幅広い。
・出来れば電池が無くても動いて欲しい。(これはどちらかというと趣味の領域)
・安価である。(これは切実)

 という条件を突き詰めた結果がライカだったというわけで、この条件を満たしていれば、別の機種でもいっこうに構わなかったわけです。そんな時に出たのがベッサ−R……ではなく、安原一式でした。が!このカメラ、出来はなかなかよく、上記のスペックを満たしていたものの、完全受注少数生産の為、予約が何千人待ちという状態だったのです。ここでため息をついていたときに現れたのが、ベッサ−Rなのでした。
 ベッサ−Rは正式名称を『フォクトレンダー ベッサ−R』といって、ライカのライツ、カール・ツァイスのコンタックスと肩を並べるドイツのカメラメーカーでした。でしたというのは既にドイツでは消滅してしまった会社だからです。それを日本のコシナというメーカーがフォクトレンダーのブランドを手に入れ、新たにフォクトレンダーシリーズとして一連のカメラを作り始めたのです。
 ベッサ−Rはそのシリーズの二機目にあたり、一機目の『フォクトレンダー ベッサ−L』の機能追加型になります。ベッサ−LがライカI型やライカスタンダード等と同じように、距離計が無く、ライカIc、If、Igのようにファインダーすら無いため、広角レンズと外付けファインダーの目測&被写界深度スナップ撮影専用機であったのに対し、ベッサ−Rでは距離計とファインダーを内蔵し、汎用性を持たせ、さらにベッサ−Lで取り上げられていた強度の問題などを改良しました。
 これらの事がわかった時点で、私は購買意欲を持ち始めました。上記の項目をクリアしているばかりでなく、デザインも良いし、大量に生産されるとわかったからでもあります。しかし、実際に実機を見てみないことには評価を下せません。そこで私は初回分を予約せずにカメラ屋の店頭で実機をチェックするつもりだったのです。
 しかし考えが甘かった……のでした。
レンジファインダーカメラというのは、一眼レフに比べればマニアックだし、カメラマニアも最近はあまり見かけないし、初回分だろうとヨドバシ辺りにいけばあるだろうと思って鼻歌歌いながら行ってみると、『初回分売り切れ、次回入荷予定日未定』の看板が……あ、ヘキサーRFか。それとも、とち狂ってPS2カメラコーナーで売ってたのか?等と現実逃避したかったのですが無理でした。しっかりとベッサ−Rと書いてあります。しょうがなくため息ひとつ付いて、その日はニコンのレンズを物色したのでした(買いませんでしたが)。
 そして後日、ようやくにして私ベッサ−Rと巡り会えます。私がヨドバシでの話を私がよく行く横浜の中古カメラ屋さんで話していると、ふらりと来た他のお客さんがカメラバックからベッサ−R取り出したのです。まさに僥倖。さっそく話しかけて、実機を見せて貰いました。予想通りの出来の良さです。ここで私は腹を決めました。ベッサ−R、予約です。

 そこの中古カメラ屋さんは、新品も取り扱っているお陰でベッサ−Rが予約できたわけですが、第二回分は月末になるだろうとのことでした。まあ、当然だと思い、のんびりしていると、月末まで十日もあるのにウチに電話が。聞いてみるとどうもコシナが根性を見せてくれたそうです。そういうわけでついに私はベッサ−Rを手に入れることが出来たのでした。

 さっそく各部をいじってみると、機能美がぷんぷんします。シャッターは軽いし、レバーはやや堅いながらも(私は巻き上げ感は最高と言われるF3に慣れているので、実際にはそう堅くもないかもしれません)ストレス無く、手早く巻き上げられます。いくつかのカメラ雑誌で批評されていた巻き戻しレバーですがやや華奢ながらもフィルムの巻き上げには別に苦労しませんでした。
 特に高くしたいのはファインダーです。レンジファインダーカメラの場合ファインダーで善し悪しが決まると行っても過言ではないのですが、ベッサ−Rのファインダーは以前見てびっくりしたライカM3のそれと対等に渡り合えるものです。暗すぎることもなければ明るすぎることもなく、中央部から周辺まで歪曲もなく、非常にクリアに写ります。既にフィルムを一本入れて色々と撮ってみたのですが、レンズを付けてもその小型軽量さは(大体F3に標準レンズを付けた状態の二分の一の重さ)失われず、非常に軽快に撮影できました。

 それにしても、レンジファインダー機は、常に持っているカメラとしては完璧に近い機能を持っています。ミラーがないため振動が少なく、低速シャッターでも手持ちでいけるし、ペンタプリズムとかが飛び出ていないので、鞄に簡単に入ります(さすがにクロスに包んでありますが)。特に賞賛したいのは、一眼レフだと難しい広角レンズでの距離あわせが簡単にかつ正確に出来ることです。これはレンズの画角に関係なく距離計が動く為なのですが。非常に重宝しています。

 これからこのカメラは私のサブカメラと言う職分(?)を通り越して、F3と同じくらい使うことになりそうです。いずれ、このカメラで撮った写真がここのMuseumに飾られることになるでしょう。
Ogurin

 ……これでライカに熱を上げることもなくなるかと思いきや、未だにライカが欲しい私……どうやらライカ病にかかってしまったようです。ああ、どうしましょう(笑)

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