超警告。CLANNADの隠しシナリオをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「今回のぷち劇場シリーズは、『艦隊これくしょん-艦これ-』から。わたしは――」
「駆逐艦潮か。まんまだな」
「なんか、みんなしてこれしかないとか言うのよね」
「そりゃそうだろ。そのバスいやなんでもない」
「……ふーん? で、おとーさんが提督と」
「こっちもそれしかないからなぁ」
「ヘーイ、提督ー! って潮じゃない汐ちゃん、これちょっと髪のセットが思ったより大変なんだけど!?」
「戦艦金剛ですね。結構藤林先生に似合っていると思いますよ。んでもって頭の横のセットがすごいんですよね」
「本当に大変そうだな。おっといかん――戦艦長門だ!」
「……」
「……」
「……」
「――朋也、藤林、それに汐。なぜ急に吹き出す」
「いや……」
「だって……」
「師匠、似合いすぎです……!」










































































































  

  





『夏祭りの夕方、そして夜』



「ただいまー」
「ああ、お帰り」
 夏祭りの夕方、少し疲れた声で帰ってきた汐は、浴衣姿だった。
 いつかのオレンジ色の浴衣ではない。深い蒼の生地に、白で描かれた流水と赤と橙色の紅葉がアクセントになっている真新しいものだ。
 それは、早苗さんが選んだものでもなく、それでいて杏や風子が勧めたものでもない、汐が自分で選んだ浴衣だった。
 多少親馬鹿が入るのは承知で言うと、我が娘ながら良い趣味だと思う。
「古河塾の引率、おつかれさん」
 いつもより氷を多めに入れた麦茶のグラスを掲げて俺。続いて立ち上がり、汐にも同じものを用意しようとしたところ――。
「あ、わたしがやるからいいよ」
 そう言って、汐はさっさと家に上がると手慣れた動きで自分のグラスに麦茶を入れたのだった。ただ――。
「氷、入ってないぞ」
「ああうん、いいの」
 どちらかと言えば男らしいスタイルで、汐は自分で入れた麦茶を一気に飲み干した。
「すぐに出かけなきゃいけないからね。この後、年長組の引率があるのよ」
「――なるほどな」
 古河塾の子供たちは年齢がバラバラだ。それゆえこういう夏祭りのときには早めに会場を回ってから親御さんに帰す年少組と、夜まで一緒に回る年長組にわける必要がある。
「って、氷をケチるほどでもないだろ」
 どうせ流しに捨てておけばすぐにでも溶けてしまうだろう。そう思いながら俺がそう言うと、汐はちっちっち――といわんばかりに人差し指を横に振って、
「帰ってきたら、どんぶり一杯にかき氷を作る予定だから。一個も無駄にはしない予定なの!」
「……なるほどな」
 思ったより子供っぽい理由に、ちょっと肩の力が抜けた俺だった。
「でも意外だったな。てっきり年少組だけの引率だと思ってた」
 家に帰ってきたときは、てっきりあとを早苗さんに引き継いだものだと思っていたのだが、どうも違っていたらしい。
「最初はそれもいいかなって思っていたんだけどね……やっぱり、早苗さんにもあっきーにも、ふたりでゆっくりしてもらいたいし」
「……そうだな。でもお前、少し疲れた顔しているぞ?」
「大丈夫よ。ちょっと振り回されただけだから。……若いって、いいわよね」
「なにを言ってるんだ、ぎりぎり十代」
「まぁそうだけどさ」
 杏辺りが聞いたらまず間違いなく春原辺りがとばっちりを受けていただろう。
「お前にだって、ああいうときはあったんだぞ?」
「うん……そうだね。つい忘れがちになっちゃうけど」
 それについては否定しない。俺自身が、そうなのだから。
「さぁてと――」
 気前よく空になったガラスを流しにおいて、汐は両肩とこきこきと動かした。
「次の準備にとりかかりますか。着替えてくるね」
「へ?」
 着替える? なにに?
 そんな俺の疑問をよそに、汐はあらかじめ用意していたとおぼしきスポーツバッグを勉強机の下から引っ張り出すと、脱衣場へと飛び込んでいった。
 どうも普段着ではないようだが、一体なにに着替えるんだろうか。浴衣以上に、夏祭りに似合う格好はないと思うが……?
「あ、おとーさん」
 脱衣場にある蛇腹の向こうから、汐の声が響く。
「おう、どうした?」
「のぞいちゃダメよ! 今のわたし、限りなく全裸!」
「いちいち言わなくていいっ!」
「具体的に言うとパンツ一丁!」
「だからやめろって!」
 本当に全裸でなくて良かった――って違うんだ渚! 実の娘の半裸なんて想像していないからな! マジで! などと心の中で土下座せんばかりに渚に謝っていると……。
「ててーん!」
「おう!?」
 脱衣場の蛇腹を派手に開け放って、汐が飛び出てきた。
「どう? この格好」
 正直に言おう。可愛かった。
 さらしに法被、そして下はスパッツというまさにお祭りという感じのシンプルな出で立ちが、抜群と言っていい汐のスタイルとあいまって、健康的な可愛さを醸し出していたのだ。まぁ、あえていうなら――、
「なんというか、子供には目の毒じゃないか?」
「なんで?」
「いやまぁ……」
 ちょっと法被の丈が短すぎてスパッツが丸見えなのが、ひとりの父親として不安であったりする。
「しかしまぁ随分とアクティブな格好になったなぁ」
「うん、途中で引率している子たちの前で太鼓を叩くからね」
「マジでか!?」
 そう言えば、ちょっと前の夏祭りでは自由参加で太鼓が叩けて、俺も思いっきり叩いたっけ。
「さすがに浴衣姿じゃ叩けないからね……もしかして、似合わない?」
「いや、すごくかわいいぞ」
「ん、ありがとっ」
 子供の頃は純粋に照れたり、あるいは娘にそういうことを言わないのと若干むくれたりしたものだが、二十歳前となった今ではこうやって普通に受け止めてくれるようになっていた。
「さてと、それじゃ行ってくるね」
「おう、いってらっしゃい」
 全部終わったら古河パン辺りで着替えるのだろうか、大きめのダッフルバッグを持って汐は出かけようとする。
 が、そこでこちらへ振り返ると、
「ね、せっかくだからおとーさんも行こうよ」
 それは、かなり魅力的な提案だった。けれど……。
「いや、俺はここからでも十分楽しむからいいよ」
「え?」
「耳、澄ませてみろ」
「うん? ――あ」
 遠くから、祭り囃が響いている。
 それはちいさなものであったけれど、確実にここまで届いていた。
「な?」
「……うん」
「俺はここで俺の祭りを楽しむから、汐は汐で、お前の祭りを楽しんでこい」
「ん。ここまで太鼓の音、響かせてくるね!」
「おう、楽しみにしているぞ」
 お互い、自然と笑みがこぼれる。
「それじゃ、改めていってきます!」
「ああ、改めていってらっしゃい」
 かすかに熱気の残る夏の夜を、汐が駆けていく。
 そんな愛娘に対し、俺はすっかり氷の溶けたグラスを掲げて、見送ることにしたのであった。



Fin.




あとがきはこちら









































「朋也くん大変ですっ。しおちゃんと同じ格好をしたらあちこちがぶかぶかですっ」
「あれからさらに成長しているからなぁ……ウエストもか?」
「そ、そこはしおちゃんのプライバシー優先ですっ」
「やめてお母さんそれさらにきつい」













































あとがき



久々のSSは初心に返って○十七歳編でした。
次回も○を書きたいなぁ……。


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