超警告。リトルバスターズをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「鈴の誕生日? それならプロテインがいいんじゃね?」
「んなもんいるかボケーッ!」


























































  

  


「さて諸君、今夜集まってもらったのは他でもない」
 いつも通り、女子寮のクドと二木さんの部屋で、来ヶ谷さんは厳かにそう言った。
「数日後に、鈴君が誕生日を迎える。そこで皆で贈り物をしようと思うのだが……何かいいアイデアはないかね?」
「その前に、ちょっといいかな」
 と、僕は挙手する。
「ふむ、何かね? 少年」
 その場にいた、みんな――小毬さん、葉留佳さん、クド、西園さん、そして笹瀬川さんと二木さんの視線が集まってくるのを肌で感じながら、僕は一息置くと、
「なんで僕、女装させられてこの場にいるのさっ!?」



『僕らの子猫へ、親愛を込めて』



「なにかと思えば……」
 つまらない質問をするじゃないか、少年。と来ヶ谷さんは答える。
「少年がそのままの格好で女子寮に入ったら、色々と問題だろう」
「そういうけど、そこに風紀委員の二木さんがいるよねっ?」
 そう、いつものメンバーに加えて、今回はソフトボール部の次期キャプテンにして(自称)鈴のライバルである笹瀬川さんと、風紀委員の二木さんが加わっている。特に二木さんにみつかるのは、寮長にみつかることの次にまずいことだと思っていたのだけれど……。
「残念だけれどね、直枝。風紀委員の組織としてはまだだけど、私個人では把握済みよ」
「ええっ!?」
 それは初耳だった。
「あのね……見慣れない直枝によく似た雰囲気の女の子なんて、この学校には存在しないの。存在しないのだとしたら、それは直枝でしかあり得ない……そうでしょ?」
「そ、その通りだけど――」
 さすがは二木さんとしか言いようがない。
「そんな報告を受けた時点で、ピンとはきていたのよ。……まさかここまでかわいく――いやなんでもないわ」
 いまなんか、とんでもないことを口走りそうなった二木さんだった。
「それで、どうして二木さんはこの会に?」
「それは、葉留佳に相談を受けたからよ。そしてなにより――」
 部屋の中を見渡しながら、二木さんは続ける。
「ここ、クドリャフカと私の部屋でしょ」
 ……たしかにそうだった。
「まぁ、そういうわけで、今回は二木女史と笹瀬川女史をオブザーバーとしてお迎えしている。特に笹瀬川女史は鈴君のライバルだからな……色々と有用な情報をもっていることだろう」
「当然ですわ!」
 大きく胸を張って、笹瀬川さんが自慢げに息を吐く。――言いにくいことなのだけれど、着ている黒のネグリジェがちょっと目に毒だった。
「そういうわけで諸君、鈴君が男子寮で恭介氏オリジナルのボードゲームを満喫している間に、アイデアをまとめようではないか」
 と来ヶ谷さん。ちなみに着ているのは普通のパジャマだった(胸元がはちきれそうであったけれど)。これは僕以外のこの場にいる人共通の特徴で、皆思い思いの寝間着に着替えている。唯一制服なのはこの僕くらいだった。……なんというかみんな、もうちょっと僕が男であることを意識して欲しいと思う。
 ちなみに恭介が作ったオリジナルのボードゲームというは『リトルバスターズ カードミッション』と言って、数値化された僕らのカードを巧く組み合わせて、野球の試合に勝利したり、ダンジョンを攻略するというものだった。今頃鈴は、真人や謙吾と一緒にそのボードゲームに熱中しているのだろう。
「というわけでなにかアイデアがあるものは挙手――」
「はいっ!」
 真っ先に挙げたのは、他でもない小毬さんだった。
「かわいいお洋服がいいとおもいますっ!」
「ふむ、妥当な路線だな」
 来ヶ谷さんがそう評する。
「わふ! たしかに鈴さん普段はすぽ〜てぃな格好が多いですから、そういう格好をするもの新鮮だと思うのです!」
 クドがみてみたいとばかりに小毬さんのアイデアに賛同した。けれど――。
「うーん、確かに鈴に着せると似合うかもしれないけど、鈴自身が喜ぶかどうかは難しいね」
 小毬さんには申し訳ないけれど、経験に基づく事実を述べる。
「たしかに――棗鈴の場合、動きにくい服装は嫌がりますわね」
 と、ライバルらしく笹瀬川さんがそう評する。
「うーん、そうか……」
 そういわれると、そうかもしれないねー。と、ちょっと残念そうに小毬さん。
「はいはいはーい、それだったこのはるちんにいいアイデアがありますヨ!」
 と、葉留佳さん。
「動きやすくてかわいいものを着せればいいわけデス。つまり、かわいい水着をチョイスすればいいとみた!」
「珍しく常識的な意見がでてきたけれどね……」
 今度は二木さんが、ため息混じりに言葉を紡ぐ。
「夏、もう終わったわよ?」
「――しまった〜っ! 次の夏までお預けか――ッ!?」
「いやまぁ、温水プールとかあるから無理とまでは言わないけどさ」
 ただ、鈴が積極的に温水プールに行くというのは――あまりないシチュエーションだと思う。
「……いっそのこと、男装というのはいかがでしょ――」
「では次は、おねーさんからひとこと言わせてもらおう」
 一瞬にして来ヶ谷さんに封殺されてしまう西園さんだった。
「たしかに鈴君は可愛くても動きづらい服は好まないだろう。そして水着は確かに着てくれるだろうが、これから季節はずれになっていくのは否めない。だがしかし、動きやすくてなおかつ可愛いものがあるではないか、諸君」
 なにやらいつも以上に熱弁を振るって、来ヶ谷さんはみんなを見回す。
「動きやすくて、可愛いもの? うーん、なんだろう……」
「あ、姉御。それはいったいなんですカ――?」
「わふ、気になるのです!」
「一瞬で却下されて少し寂しかったですが気にはなります」
 と、小毬さん葉留佳さんクドに西園さん。
「まぁ、そういうものがあるのでしたら棗鈴も喜ぶでしょうけど……」
「いったい何なのかしらね――ちょっと、いやな予感がするんだけど」
 対して、オブザーバーの笹瀬川さんと二木さんは心配そうだった。
「それじゃ来ヶ谷さん、それがなんなのか教えてよ」
 とりあえず一同を代表して、僕が訊く。すると来ヶ谷さんは大仰に頷いて、
「うむ! それはずばり――下着だっ!」
 ――はい?
「あー、そうきたカー……」
「わふ、盲点でした!」
「それだったら可愛くて動きやすそうなの、いっぱいあるね!」
「ありだと思います」
「いやいやいやいや、ちょっとまってよ!」
 慌てて僕は割って入る。
「し、下着をプレゼントってそれも可愛いのって――」
「所謂勝負下着だな」
「いや、言い換えなくていいから!」
「ああ、安心しろ少年。サイズは把握済みだ」
「その情報収集能力を、もっと有効なことに使おうよ、来ヶ谷さん! ああもう……」
 なんだろう。なんかすごくこうこの場にいちゃいけない空気になってきたような気がする。
「笹瀬川さんに二木さん、なにか言って――」
「そうですわね、確かに棗鈴はその方面がシンプルすぎるきらいがありますわね」
「ま、いいんじゃない?」
 意外なことに、同意するふたりだった!
「さて、そうと決まれば話は早い。誰かその手のカタログを――」
「はーい、こういうこともあろうかと、もってきたよー!」
「さすが小毬マックス、対応が早いな」
「わふ、かなり分厚いのです」
「おお、これなんかかなりエクスタシーですヨ!?」
「こちらもいかかでしょう。かなりマニアックですが――」
「あ、これわたくしが持っているものですわね」
「――ちょっと待ちなさい。なんでこんなところに穴が開いているのよ!?」
 皆でカタログに穴が開かんばかりにのぞき込んでいるのだけれど……。
「あの、ごめん。僕もう帰っていいかな?」
 返事がなかったけれどそれを了承ということにして、僕は女子寮から退散した(途中でリトルバスターズの部室によって着替えることも忘れずに!)。なんというか、さすがにみんなと一緒になって女性の下着を眺めるというのはちょっと恥ずかしいというか――そもそも、鈴も恥ずかしがって受け取らないと思うのだけれど……。



 それから、数日後。
「なるほど、新機軸の櫛か」
「そう。これだと毛玉をカットしながら猫達をブラッシングできるんだ。すごいでしょ?」
 鈴の誕生日に、僕はそんなプレゼントを贈っていた。
「うれしいぞ、理樹。これで毛玉をいちいちカットしなくて済むようになるんだな」
 うれしそうに、鈴はそう言ってくれた。
「喜んでもらえて、僕も嬉しいよ。鈴」
 やっぱり鈴には、こういうものもありだと思うのだ。
「ところで――理樹」
「うん、どうしたの? 鈴」
「今日のあたしは――どうだ?」
「ど、どうだって……」
 頭の上からつま先まで鈴を見回す。いつも通りの制服姿で特に変わったところはないけれど……。
「か、かわいかったりせくしーだったりしないか?」
「――え?」
 いま、なんだって?
「な、なんでもない。なんでもないからなっ!」
 そう言って、鈴は急に踵を返すと、部室の方へと走り出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ鈴! 急に可愛いとかセクシーとか――まさか!」
 鈴はもう僕の声の届かない位置にいた。今も全力疾走でグラウンドを突っ切っている。
「もしかして……いやそんな」
 確かめる術はない。けれど僕はつい想像してしまい――派手に赤面してしまったのだった。




Fin.




あとがきはこちら












































「おまえら理樹と一緒に相談していたのかーっ!」
「はっはっは。当然だろう。というわけで来ヶ谷アワーのお時間――といいたいところだが、今回は本編がそれみたいなものだからな。お休みにするとしよう」
「でもりんちゃん喜んでくれてよかったよー!」
「そ、それはこまりちゃんが選んでくれたものだしな……」
「正確には、私と能美さんと三枝さんと来ヶ谷さんと、笹瀬川さんと二木さんも加わっていたりします」
「な、なにぃ……みんなで選んだのか」
「やはは――ちょっとセクシーすぎましたかね?」
「でも鈴さんには似合っていたと思うのですっ」
「か、かわいいとは思ったからな。――その、みんなありがとう」
「……なんだか、棗鈴のものすごくめずらしい貌を見られたようなきがいたしますわ」
「――奇遇ね、私もよ」




































あとがき



 リトルバスターズ、鈴の誕生日記念でした。
 実際問題女性が友達に贈るプレゼントがとんと想像できない私でありますが、実際のところどうなんでしょう。気になるところですね。
 さて次回は――超未定です。

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