超警告。CLANNADの隠しシナリオをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「いやー、久しぶりだねこれ」
「本当だなぁ」
「でもこうやって続いてうれしいです。えへへ……」










































































































  

  


 あれだけ暑かった八月も、その最終日となると大人しくなって、朝晩は随分と涼しくなってきた。
 俺、岡崎朋也はわずかばかりの夏休みを、そして娘の汐は大学生特有のとても長い夏休みを満喫し――猛暑日にふたりしてだらけたり、暑気払いにプールに行ったり、皆で田舎に出かけたりなど――今はお互い無言で秋の訪れを待つ……そんな、昼下がりの午後だった。



『夏の終わりと岡崎家』



 大学生になって、家にいるときも身だしなみに気を使うようになった汐だが、この夏の猛暑を前に無駄な抵抗を諦めたらしく、久しぶりに高校生時代と同じややぶかぶかのTシャツにスパッツという格好だった。
 その懐かしい出で立ちで、汐は今窓枠に身体を預けている。その隣では風鈴――夏のはじめに俺が窓枠に吊したものだ――が小さな音を奏でており、汐はその音色に耳を傾けているように片目を瞑って――もう片方の開いた目で、外を眺めていた。
 こちらはというと、当初は新聞を眺めたりテレビを観て過ごしていたのだが、今は汐が風鈴の音を聞いているのに気付いてテレビを消し――汐の様子をそっと眺めている。汐はたぶんそれに気付いているはずであったが、それでも特に動じる様子はなく、まるで有名な彫刻家による彫像のように、静かに外を眺め続けている。
 夏の終わりにふさわしい、ゆったりとした時間だった。
 気がつけば、汐は両目を閉じていた。寝ているわけではないのだろう。おそらく風鈴の音に耳を傾けて、この夏を思い出しているのではないかと思う。……あるいは、今までの夏を。
 五歳の時、俺と一緒に暮らすようになった夏。
 六歳の時、はじめて一緒に祭りに出かけた夏。
 七歳の時、皆で海に行った夏。
 そして十七歳の時、渚の墓参りに出かけた夏――。
 どの夏も、汐にとってはかけがえのない夏であったと思う。
 もちろんそれは俺の想像でしかない。たぶん、汐に頼めばその本心を教えてくれるのだろうが……俺は敢えて、訊かないでいた。おそらく違いはあるのだろう。だが、そこはそのままでいいのではないかと思う。それはちょっとした、俺のわがままであった。
 ――涼やかな風が、窓から吹き込んできた。ただそれは、湿気を幾分か含んでいた。空を見てみれば徐々に曇ってきている。天気予報では、午後から雨だということだったが、この分だと的中しそうだった。
 洗濯物のたぐいは午前晴天であったためすでに取り込み済みだし、特に出かける用事もないので慌てることはなにひとつないのだが、そんな余裕があるのは、本当に久しぶりだった。俺も汐もここ最近忙しい日々が続いていたため、なおさらそう感じてしまうのだろう。
「あ――」
 汐が小さな声で呟く。
 気がつくと小雨が降り始めていた。
 すると、汐は今までずっと動いていなかった分を取り戻すようにぐっと伸びをすると、軽やかに居間に降りる。そして窓を振り返ると――ちょっと背伸びをして、吊されたままの風鈴を手に取ったのだった。
「この一夏、おつかれさま」
 ぎりぎり俺に聞こえる小さな声で汐はそう呟く。
 その横顔はどことなく、おなかの中にいた汐を慈しむ渚の表情に似ていなくもない。
 そんなことを考えながら風鈴が入っていた小箱を探すべく――俺は立ち上がったのだった。



Fin.




あとがきはこちら









































「気がついたら夏も終わりだけど、本当に涼しくなったよね」
「一気に秋になったよなぁ……」













































あとがき



久々の○十七歳編でした。というかSSを書くのも久々なのでいろいろと勘を取り戻すのが大変でした。もうちょっと定期的に書いていきたいですね……。
というわけで、次の話は未定です;

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