超警告。CLANNADの隠しシナリオをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「義理チョコだっていうのに、わざわざこっちまで来て直接手渡しでお返しするのよね、陽平って。学生時代のあいつ見ていると信じられないわ」
「いっそのこと結婚しちゃえばどうです? 藤林先生」
「そ、それとこれとは話が別なのっ!」














































































































  

  


「これは……」
 それをそっと手にとって、わたし岡崎汐は呟いた。
 一見だけだと、それは小さい電球に見える。けれどもよくよく見るとそれはちょっと平べったくて、さらに注意深く見れば小さく目のような浮き彫りがふたつある。
 それもそのはず、この電球のようなものは、だんご大家族を模しているのだ。さらに言えばそれはガラス製ではなく、透明なお砂糖で出来ていた。



『岡崎家のホワイトデー 〜フラッシュバック20XX』



 簡単に言ってしまえば、今日はホワイトデー。言うまでもなく、このだんご大家族型キャンディーを用意したのは、おとーさんだった。
「すごいね、これ」
 そっと手にとってそれを眺めながら、わたし。
「綺麗だろ」
 と、仕事から帰って普段着に着替えたおとーさん。
「こんな綺麗なの、よく作れたね」
 ここ数年、おとーさんのホワイトデーは手作りのキャンディーであったからそう訊くと、おとーさんは大きく手を横に振って。
「いや、今回は取引先の電球屋さんに頼んだんだ。色んな大きさの電球を作れて、ガラスだけでなくアクリルやプラスティックでも出来るっていうから、砂糖でも出来ますかって尋ねたら、出来る出来るって笑って言ってくれてさ」
 数多く並んでいた電球がすごく綺麗で風鈴のようだったから、つい頼んでみたんだと、おとーさんも笑いながら言う。それにしても、わたしと同じ感想だったことが、ちょっとくすぐったい。
「だから、今回は俺は何もしていないんだ」
「ううん、そんなことないよ。その電球屋さんにお砂糖で作ってもらうように頼んだのはおとーさんだし、そもそもこうやって綺麗なだんご大家族を考えついて、形にしようとしたのは――他ならぬ、おとーさんなんだから」
 わたしがそう言うと、おとーさんは顔を綻ばせて、
「ありがとうな、汐」
 嬉しそうに、そう頷いたのだった。
「それにしても、綺麗ね」
「だろ。砂糖でこの透明さがでるとは思わなかったんだが、先方によるとちょっとしたコツがあれば出来るらしいんだ」
「コツって――さすが専門家だなぁ……」
 そう言いながら、わたしはそのだんご大家族を覗き込んだ。本当、まるでガラスのように向こう側が――。
『ありがとうございます、朋也くん。でも、わたしチョコレートを用意できなかったのに良かったんでしょうか』
『いいんだよ。バレンタインの時、渚は熱で寝込んでいたんだから』
『でも……』
『そんな顔するなって。そうだな……渚が元気な時にチョコレートを作ってくれれば、俺は満足だからさ』
『朋也くん……ありがとうです』
 これ、は――。
「汐?」
 おとーさんの怪訝な声で、わたしは我に返った。
「どうした? なんかぼーっとしていたが」
「あ、ううん。なんでもないの」
 今のは、おとーさんとお母さんのホワイトデーだろうか。だとしたら、それは――。
「ねぇ、おとーさん」
「うん?」
「おとーさんは、お母さんにもホワイトデーの贈り物をした?」
 わたしがそう訊くと、おとーさんは間髪を入れずに、
「ああ、もちろんだとも」
 はっきりと、そう言った。
「……そっか」
 図らずも笑顔になって、わたし。
「それじゃこのだんご大家族、お母さんの分も?」
「ああ、もちろんあるぞ」
 そう言っておとーさんは、わたしに渡してくれたものと同じ包みを掲げてみせる。
「さすが、お母さんの旦那様だねっ」
 少し洒落っ気を効かせてわたしはそう言う。すると、おとーさんはぽかんとこちらを見て、
「あ、ありがとうな……」
 ちょっと顔を赤くして、そう照れたのだった。



Fin.




あとがきはこちら










































「あの時のこと、思い出しました……朋也くん、ありがとうです」
「なぁに、気にするなって――」











































あとがき



 ○十七歳外伝ホワイトデー再び編でした。
 実際に電球を作るの技術で透明な飴が出来るかどうかわかりませんが、なんかこう、サクッと出来てしまいそうな気もします。
 さて次回は、朋也の子育ての悩み(?)編で。


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