超警告。CLANNADの隠しシナリオをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「ぷち演劇シリーズ、今回はご要望の多かった『リリカルなのは』で――」
「はいはいはい! なのは役は私がやるの! なのは役は私がやるの! 大事なことだから二度言ったの!」
「……ですよねー」
「で、汐ちゃんもほぼ強制的にフェイト役ってことね」
「ツインテールにしたらめっちゃかわいくね? とか作者が言ってたそーです。でも、わたしは変身前の方が可愛い髪型だと思うんですけどね。って、そういう藤林先生は……ネコミミ? いや、イヌミミ?」
「ああ、アルフ役なのよ」
「『こんちゃー! 地球人よー!』」
「いや、そっちの所さん風宇宙人じゃ無いわよ……っていうかわかってやってるでしょ、汐ちゃん」
「ええまぁ。でも意外でした。てっきり2期のシグナムとか3期のスバルとかだと」
「ああ、作者がちゃんと観たのが劇場版の1期だけだからそれ縛りなんだって」
「なるほど。ってことは――」
「なのはの兄役なんだが、一言も喋れなかった……」
「芳野さん……」
「なのはの姉役ですが、一言も喋られなかったよ……っていうか中の人縛りで女性役ってひどくない?」
「柊のおじさま……ファイトです」
「風子、珍獣です」
「あー、これは声の雰囲気的にありかも。って、あれ? そういえばおとーさんは?」
「ふはははは! 俺が汐の兄貴であるクロノ役だ! さぁ汐、俺をお兄ちゃんと呼んでくれ!」
「おとーさん、なんかそれ危ない……」
「(汐ちゃん、昔一回だけそう呼んだこと忘れてるね……)っていうか主役なのに全っ然目立ってないのー!」
「……あのな芽衣。口調完全に移ってるぞお前。っていうか僕の役、やれ役の魔導士Aってあんまりじゃない?」





























































































  

  


 久々に、有給休暇を取った。
 麗らかな春の日――にはまだちょっとばかり距離があったが、それでも大分暖かくなった3月の、昼前。
 まだ寒さがきつい日が続くのでそのままにしているこたつに入って、俺は自分で淹れたお茶を飲む。
 すぐ側では、娘の汐が大の字になって眠っていた。



『汐風に揺れる一輪の花』



 壁際には、ハンガーに吊され、埃避けと虫避けを兼ねたビニールカバーに覆われた制服がかかっている。
 それを眺めながら、俺は感傷に浸っていた。
 もう汐は、もうこの制服に袖を通すことはない。
 何故なら、昨日高校で卒業式があり、汐は無事に卒業したからだ。
 故に、この制服も渚の制服同様、クローゼットの奥に仕舞われ続けることになるのだろう。
「それは、言い過ぎか」
 思わず口に出して、苦笑してしまう。
 思い出してみれば、俺は卒業後、自分の制服に袖を通してあの坂を上ったことがあったのだ。
 二度目の卒業式。
 渚の、卒業式だ。
 つまり、俺は自分の分、渚の分、汐の分と、三度の卒業式に参加したことになる。しかも、同じ学校で……だ。なかなかに、得難い体験だと思う。
 さて、その汐の卒業式であったが――あの大騒ぎだった卒業公演とは違い、特に滞り無く――というかあっさりと終わった。あの公演では最後の最後で涙を浮かべた汐であったが、卒業式では随分とさばさばしていた。むしろ公演では気丈だった汐の後輩が、目を真っ赤にして汐に抱きつき泣き出してしまい、逆に俺が戸惑ってしまった程だ。
「大丈夫、出来るよ」
 涙に震える後輩の肩をそっと抱くように静かに叩いて、汐は短くそう言う。その意味を解釈してはじめて、俺はその後輩が演劇部の部長――つまり、汐の後継者――になることを知り、驚いた。来年度から二年生とはいえ、現一年生が部長になる例は……前代未聞という訳ではないが、決して多いとはいえない。
「……頑張ります」
 こちらも短く、後輩はそう答え、汐から離れた。
 目は真っ赤であったが、その瞳には、初めて会ったときにはなかった強い光が灯っていた。汐と同じく、成長したのだなと俺は思う。
 逆に、汐と同様あっさりしていたのは汐と三年間ずっとつきあっていたという汐のクラスの委員長で、こちらは最後にお互いの手のひらを打ち合わせただけであった。
 俺と春原のように長いこと一緒に居たふたりだったが、委員長の方は何でも県外の大学に進むらしい。まぁ俺も、卒業した後は渚以外の面々とは距離を置いていったのだから、それほど意外ということでもないだろう。それに、何も距離を置いたからといって縁が切れたわけではない。俺だって、今も春原や杏、智代やことみ達と話したり、飲みに行ったりするのだから。
 まぁ何はともあれ、こうして多くの人に支えられ、見送られた汐の高校生活は、無事に終わった。
 次の大学生活はどうなるのだろうか、汐に代わって心配しても仕方がないのだが、何処か自分のことにように期待してしまう。
 が、今は特にすることはない。
 ちょっと臭い台詞になるが、人生における束の間の休息と言ったところだろうか。
 それがわかっているのだろう。いつものようにTシャツとスパッツという格好で、汐は今ぐっすりと眠っている。
 詳しく言いうと、こたつに膝から下だけを入れて大の字に眠っているのだが、なんというか、見ていてだらしない。好意的に言えば、何かをやり遂げて緩みきっているように見える。それでもまぁ、だらしないことには変わりがないのだが。
 髪はちゃんとブラシを入れてあるが、結うわけでもまとめるわけでもなく、放射状に散ったままにしているし、スパッツはずれていて、白い布のゴムの部分が、あられもなく見えている。さらに上の方を見てみると、Tシャツは派手にめくれていた。流石に下着は見えないものの、お腹丸出しである。それでも、こめかみの辺りにある渚の髪飾りはちゃんとをしているのが、らしいと言えばらしいところだろうか。
 よく考えてみれば、ここまで緩みきった汐をみるのは、初めてのことだった。
 思い出してみると、無防備であることは小さい頃から何度かあったが、だらしないというのは今まで無かった。渚は決してこういうことをしなかったので、新鮮と言えば新鮮と言える。
 さて、そんな汐をいつまでも見ていたかったが、そろそろ昼時だ。
「汐起きろー、そろそろ昼飯にするぞー」
 普通に声をかけてみるが、反応はない。
「そんなに無防備だと、おそわれるぞー」
 ぼそっと呟いてみるが、反応はない。
 ……ふむ。これは、あれか。いじくりフラグというものだろう。
 だが、かつて春原には色々とお茶目なことをした俺だが、実の娘だと流石に躊躇ってしまう。
 まさか額に肉とマジックで書いたり、臍にピタゴラスイッチと書くわけにも行くまい(おそらく、押すと漏れなく汐のパンチが飛び出す仕組みになるであろうが)。
 ある程度、悪戯であって過激でないもの。――何があるだろう。
 先にも言ったが、渚はそう言った隙を見せなかったので思案どころであった。あえて言うと正月に飲酒して多少乱れたとき……正月?
「ふむ?」
 ぴんと来た。
 お腹で福笑い、これくらいならいいだろう。
 材料は――そう、ちょうどそこにみかんの皮がある。
 そして汐のお腹は全開だ。普段だったら冷えないよう毛布の一枚でもかけるところだが、まぁ今日くらいはいいだろう。
 それにしても、汐のお腹は折れそうなくらい細くて、なおかつ柔らかそうだった。
 こんなで、杏や智代に引けを取らない筋力を誇るのだから不思議と言えば不思議な話はある。
 俺は早速みかんの皮を適当にちぎり――ふとその手を止めて、考え直した。
 流石に素肌の上には、不味いような気がする。
 せめて、Tシャツの上ぐらいにして起き上がるのに一苦労というレベルが丁度いいだろう。
 そう考え直した俺は、派手にめくりあがった――それでいて肝心なところは見えないと言う実に皮肉な――Tシャツの裾を戻そうと手を伸ばし……。
「くしゅん!」
 そこで、汐が大きなくしゃみをした。
 同時に身体を深く曲げて――お腹に触れそうだった俺の手が、その着地点を大きくずらす。

 ――むにっ。

 ボリュームと弾力を兼ね備えた感触が、両手の平いっぱいに広がる。 その双丘の感触に感嘆するとほぼ同時に、渚の写真立てが、ぱたりと倒れた。
「……」
「……」
 もちろん、汐がそれで目を覚まさないはずはない。
 そして俺は俺で動けなかった。
 もちろんそれは、汐から急に立ち上った気迫で、だ。両手の思わぬ感触では――1割ほどそうかもしれないが――ない。
「……いつまで触っているの?」
「――! いや、あのこれはな!?」
 事故です。事故なんです。言外にそう滲ませて俺は言うが、汐には届かない。
「ただ俺は、お前のお腹で福笑いしたかっただけなんだ……」
 あれ? シリアス気味に言ったはずなのに何か外していないか? おかしいなと首を傾げる俺に、汐は小さく息を吐いて、
「ふーん? 他に何か言うことはないかなぁ?」
 うわまじ怖ぇ。
 だがここで、俺がびびるわけにはいかない。
 手のひらに残った温もりを思い出しつつ、俺は拳を胸に当て、言いきる。
「もう何も、怖くない!」
 直後、俺は汐に頭からかじられたのだった。



Fin.




あとがきはこちら










































「と〜も〜や〜く〜ん?」
「いやまて、おちつけ、あれは事故だ渚っ」
「事故だろうとなんだろうとああいうことをしちゃ駄目ですっ!」
「いやでもな、あの感触すごかったぞ。俺たちの娘が、よくぞここまでって意味で、俺は感動したんだ」
「……本当ですか?」
「ああ、なんだったら実際に揉んでみればいい」
「そ、そんなにすごいんですか……ちょっと試してみたくなってしまいました……」
「ちょっとまてマイ両親」











































あとがき



 ○十七歳外伝、卒業エピローグ編でした。
 軽めのつもりで書いたんですが、前半がちょっと重かったかな? まぁ、いいやw。
 さて次回は……ちょっと遡ったところを行こうと思います。




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