超警告。CLANNADの隠しシナリオをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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ガンガンスクロールさせてください。






































「ぷち演劇シリーズ。この前男性縛りのAngelBeats!だったので今回は女性縛りで」
「『感受性を高めなさい。あるがままを受け入れるの』……どう?」
「おお、流石というかなんというか、似合いますね。藤林先生」
「まぁねー。で、なんで汐ちゃんが遊佐役なの?」
「あー、作者の趣味らしいです」
「わかりやすいわねぇ。で、智代は?」
「『浅はかなり――!』」
「うわ、違和感ゼロ……」
「可愛いもの大好きですしね……」
「それはいいんだが、台本を読むとさっきの台詞ばっかりなんだが」
「そういう日もありますよ。あと、メイン処と言うと――」
「天使役なの」
「こ、ことみちゃん!?」
「でかっ!」
「なんというアンバランス――!」
「性格的には近いはずなの……っ」
「いや、そうだけどヴィジュアル的にすごいことになって――あれ、ふぅさんは?」
「ここからロックを歌います。任せて下さい」
「え、ふぅさんが岩沢さんなの……?」
「聴いて下さい、風子の歌――『人として軸がぶれている』!」
「いや、ちょっと待って!」




























































































  

  


『写真! 絶対、忘れないでくれよ』
 携帯電話越しに伝わってくる春原の声は、残念さに満ち溢れていた。
「任せとけ。こう言うときのために職場から借りてきたから」
 一週間前に話したときには絶対行くと言っていたのだが、急な仕事でこちらに来られなくなったらしい。だからというわけでもないが俺はあらかじめデジタルカメラを借りていたのだった。
『ああ、助かるよ』
「データは携帯のメールとかで送ればいいのか?」
 パソコン無い上にそういったことが苦手なので、多少気後れしながらそう訊いてみると、
『いや、できれば紙にプリントしてから郵便か何かで送って欲しいな。僕の田舎じゃそういう機械なかなか無いしさ。それに……紙でもらった方が安心するんだよね』
「ああ、なんとなくわかるよ。こっちには商店街にプリントしてくれる機械がいくつかあったからな。それで印刷しておく」
 ものによってはフォトブック――アルバムまで作ってくれるのもあるというのだから、すごいと思う。
『悪いね。わざわざ』
「いいんだよ、俺だって記録に取っておきたいからさ。なんたって今日は――」
 古河家の居間、襖の向こうを見やって、俺。今そこでは、早苗さんが汐に着付けをしているはずだ。
「――汐の、七五三だからな」



『しちごさん!』



「終わりましたよー」
 そんな早苗さんの声が奥から響いて、居間にいた俺と、外で煙草を吸っていたオッサンは襖を開けて中へと(我先に)踏み込んだ。
「どうでしょう?」
「……おお」
「ほほう、いい感じじゃねーか」
 着物の生地は、朱を基調としたシンプルなデザインの物で、その色が白粉で薄くお化粧をした顔とあいまって良く映えていた。
「うん、これは――」
 結い上げるほど長くはないが、綺麗な髪飾りで整えられた頭をそっと撫でて、俺。
「綺麗だぞ」
 今年七歳になる我が娘は、文字通り雛人形のようであった。
「あ……ありがとう、パパ」
 着物袖で顔を隠し、照れる汐。誰が教えたわけでもないだろうに、その仕草が様になっている。
「よし、んじゃま行くか」
 そんなオッサンの号令の元、タクシーを呼んで、近所の神社に向かう。
 神社に着いてみると、辺りには汐と同い年の子供と、その親御さんでかなり賑わっていた。よく考えたら汐と同い年の子供だけではなくて、三歳と五歳の子がいるのだから当たり前と言えば当たり前だろうか。
「お子さまはこちらの方へ。親御さんは申し訳ありませんが、お子さんの人数が多いので外の方でお待ち戴けますか?」
 という巫女さんの案内により、汐は神社の殿中に。そして俺達はそれを外から見守るという形になる。
 にしても、ぴんと背を伸ばして正座をする着物姿の汐は、何処か大人っぽく見えた。いや、大人っぽいと言うより、幼さが消えたというか……。
「こっから一気にでっかくなってくるぞ。覚悟しておけ」
 俺の想いを読みとったのか、小さな声で、オッサン。
「お、おう……」
「渚も七五三が済んでから、一気にナイスバディになったからなぁ……」
「え!?」
 まじで!?
「おう、もうあっと言う間にむっちむちのぷりんぷりんでぼんぼーんよ!」
「いや、それは嘘だろ」
「んだとてめぇ、実際に見たって言うのよ!?」
「あぁ、そりゃもう隅々までな!」
 オッサンの呼吸が、一瞬止まった。どうして俺が渚のすべてを知っているのか、思い当たったらしい。
「ち、ちくしょおおおおおお!!」
「うわはははははは……!」
「――はい、それくらいにしましょうね」
 背後から俺達の間に立ち、早苗さん。
 というか、それぞれの手で俺達の尻を思いっきり抓っている。
「はい……」
「ごめんなさい、早苗さん……」
 脂汗をたらしながら、オッサンと俺。
 それだけ抓られた握力がすさまじいこともあるのだが、それより人前にいるため転げ回りことができなかったことが、何より辛かった。って、大の大人ふたりが妙齢の女性に尻を抓られている図も相当な物だったが――そこは考えないことにしておこう。
「あ、朋也さん。秋生さんはお話はオーバーでしたけど。間違ってはいませんからね」
「え? どういうことです」
「もう2〜3年したら一緒にお風呂に入れなくなるかもしれませんから、そのつもりでいて欲しいと言うことです。女の子の成長は、男の子よりも早いんですよ」
「あ、はい……」
 寂しいことではあるが、確かにいつまでも一緒という訳には行くまい。
 汐は――どうなのだろうか。実は既に恥ずかしがっていると言うことはないのだろうか。
「ま、俺はぎりぎりまで一緒に入ったがな」
 自慢げに顎をそらして、オッサン
「いや、それ自慢じゃないからな」
 一体何時まで入っていたんだ、オッサン。
 と、そんな話をしているうちに、儀式が始まった。
 神主と思しき人が数人の巫女さん――赤い袴と白い上着の他に、薄布のケープのような物を羽織っている――と共に奥から現れ、七五三を迎えた子供達ひとりひとりにお祓いをしていく(祝詞かもしれないが、その差がよくわからない俺だった)。
「今度こそ、健やかに――」
 汐の番になったとき、早苗さんがぽつりとそう呟く。
「おいおい早苗よ、何を言ってるんだ」
 そんな早苗さんの肩を抱き、オッサンが言う。
「今度も健やかに、だ。渚は元気に育って汐を遺してくれた。そうだろ?」
「そうですね……ごめんなさい、秋生さん」
 一度だけ額をオッサンに肩に乗せ、早苗さんはそう謝る。
 俺はと言うと、ふたりの想いが半々と言った感じだった。
 渚のような強い女の子に育って欲しい。けれど、二度とあの熱で倒れないで欲しい。
 汐はどうなのだろう。
 いや、それ以前にこんなことで悩む俺について内心どう思っているだろう。
 当の本人は、神妙に儀式を受けている。
 後は、子供達皆で、白い杯に入っている御神酒を飲み干す。これで、七五三の儀式は一通り終了だ。
「――これにて、儀は完了致しました。御子様方は外へどうぞ」
 そんな神主の言葉と共に、
 足や背を伸ばして退席したり、逆に殿中に入ってきた親御さん達と合流する子供達。だが、その中でただひとり、汐は正座をしたまま動かない。
「……汐?」
 思わず、横にある入り口ではなく縁側(で、いいのだろうか。神社のそれは)に寄って声をかけると。
 すると、汐がふっと振り返った。
 白粉をしているのにも拘わらず、その顔は赤い。
 そしてそのとろんとした目は――。
 そう、あの目は見たことがある。酒を飲んで酔っぱらった渚の目そっくりだった。
 えーと、大人になった渚が一杯でいけいけだったということは……、身体の小さな汐だと。
「おーい、汐ー?」
「パパ……」
 静かに立ち上がって、汐。
「うん?」
「パパ……大好きー!」
 殿中の床を蹴って、汐がダイブした。
「のわっ!?」
 慌てて汐を抱き留める俺。ここ最近だっこしていないせいか、ちょっと――いや、かなり重い!
「パパ、あのね、あのねっ……大好きー!」
「のおおっ!?」
「大好きー!」
「おおおうっ!?」
 全身を使って、俺をぎゅっと抱きしめる。もちろん七歳の汐だから苦しくないが……。
 なんか、あれこれ考えていた俺が馬鹿らしくなってしまった。
 だって、汐はこんなにも俺のことを好きでいてくれるのだから。
「あらあらまぁまぁ」
 そんな俺達を見て、早苗さんがにこやかに笑う。
「う、羨ましくなんかねえよっぷー!!」
 そしてオッサンはと言うとものすごく羨ましがっていたが、それはポーズだけなのだろう。なんせ、顔が笑っている。
 みてくれよ、渚。
 俺、なんかすげー幸せ。



Fin.




あとがきはこちら








































「しおちゃん……お雛様みたいでかわいいですっ」
「そうだろうそうだろう」
「お持ち帰り……」
「おいちょっとまて」











































あとがき



 ○十七歳外伝七五三編、兼第三回最萌トーナメント支援編でした。
 渚が一杯のお酒ですんごいことになったのは、アニメでも忠実に再現されておりましたが、では○だとどうだろうと考えていたら今回の話が生まれました。
 でもなんか、成長したら普通に強くなりそうですけどね^^。
 さて次回は――支援以外でしたら未定で。



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