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このお話は、AngelBeats!六話前後まで視聴されていること前提で書いてあります。

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「ユイのゲリララジオ、略してゲリララ! 今回のお便りはラジオネーム『とある電気工』さんからのお便りです。『ユイさんこんばんは』はいこんばんはー。『妻と仕事場の先輩がAngelBeats!に出演しましたが、俺にはまだオファーが来ません。どうすればよいですか?』うーん、そうですねー。アホなキャラをアピールすれば出られるようだから、ブシドーに走ってちょんまげでも結ってみてはどうでしょーか? では次のお便りです――」
「いねーよ。んな濃いキャラ」
「(いや、実際にはいるんだよ。日向……)」




























































































  

  





『天使ちゃんボール』



 深夜。グラウンド。
「いや〜はっはっは、負けた負けた」
 トラックを見下ろせる階段の上からその風景を眺めて、日向はそう言った。
「酷い戦いだったな」
 彼の隣で音無がぽつりとそう言う。現在グラウンド上ではSSSのメンバーと彼らに敵対していた生徒会長の直井が撤収作業を続けていた。
「戦い? 虐殺の間違いだろ」
 ぼそっと、そう呟く日向。
 何処で始まったのか音無は知らされなかったが、生徒会長になった直井文人は一般生徒を洗脳して自らの手駒としSSSを襲撃、一般生徒に対し銃口を向けられなかったSSSはあっさりと壊滅した。
「急所に当たらないように射撃するにしても、その知識なかったから只のいい的だったぜ。野田と藤巻はどうにかしようとしていたけど、結局かなわなかったし」
「そうか……」
 顔を曇らせて、音無が頷く。
「おいおい、音無が落ち込んでどうするんだよ。お前がいなけりゃ、この悪夢みたいな騒ぎ、いつまでも続いていたんだぜ?」
 彼の肩に手を置き、日向はそう言う。
「気分はどうか知らないけどさ、今はもうちょっと景気の良い貌しとこうぜ。でないと他の連中が不安になる」
「……そうだな。ありがとう、日向」
「いいっていいって」
 軽く手を振って、日向はグラウンドに視線を戻した。音無も黙って、同じ場所に視線を向ける。現場での撤収作業は、未だ続いているようであった。
「どうするんだ、この血の海」
「放っておけば消えるよ」
「ならいいんだが……」
 そう言えば、俺が立華に刺された場所も、後で行ってみたら血の跡が無かったっけ。と、音無は思い出していた。
 ――立華。
 ことが全て済んだ後、ひとり背を向けて帰っていった彼女の後ろ姿を思い出す。
「立華は……」
「え?」
「あ、いや、天使はさ。あいつは今まで、普段どんな風に生徒会として活動していたのかなって思って」
「そうだな、俺もそれは気になった」
「日向はどう思う?」
「どう思うって、俺たちはともかく一般生徒には案内ぐらいしかしないから上手く想像できないな。音無は?」
「そうだな……」



■ ■ ■



「碇シンジ、碇シンジは居る?」
「はい、生徒会長」
「先だって、SSS(シラス 白魚 シーラカンス)が生徒会室に攻め込んできた件だけど」
「死ぬかと思いました」
「そうね」
「……ちなみに、僕の名前は直井文人です」
「あなたは口を挟まないで、武藤遊戯」
「申し訳ありません」
「――SSSと仲直りしてみたいのだけど、どうかしら?」
「生徒会長、ご立派になられて。 校内における争乱の集結は今や行方不明となった校長の長年に及ぶ願いでした。僕に忠誠心があったら泣いています」
「当然よ。だってあたし、生徒会長だもの(なんかいま引っかかるフレーズがあったわね)。早速だけど、SSSとの話合いの場の用意をして頂戴」
「流石です生徒会長。もうSSSの言葉を学ばれましたか」
「……何?」
「SSSの言葉です。連中は我々と言語体系が些か異なりますので」
「初耳ね」
「SSSは我々ほど論理的ではありません」
「野蛮ね」
「行方不明の校長が遺された書物に、SSSの会話サンプルが纏められております」
「便利ね」
「『第一章、挨拶』」
「挨拶は大事よね」
「『チィーッス! 天使ちゃん』」
「ハンドソニック、バージョン2」
「ぐはっ。いかがなさいました?」
「微妙にむかっ腹が立ったわ」
「左様でございますか」
「続けてちょうだい」
「『天使ちゃんマジ天使、ちょおウケるしー、もうアリアリ――』」
「ハンドソニック、バージョン3」
「ぐぶっ。い、いかがなさいました?」
「肚に据えかねるわ」
「左様でございますか」
「その校長先生のデータを見せて頂戴」
「おおせのままに」
「…………SSSとの共存は無理ね」
「ぶっちゃけオッケティング〜」
「ハンドソニック、バージョン4」
「あ゛や゛な゛み゛ぃっ!」
「個性的な悲鳴ね」



■ ■ ■



「なんて、な」
「だははは、ないない。それはないだろ、流石に」
「だよな」
 お互い、くつくつと笑いあう。
「でもさ、あいつらには、あいつらなりに楽しくやって欲しいんだ。ただこの世界に『いる』だけじゃ、辛すぎる」
「そうだな……それは確かに言えてる」
 一瞬だけ真顔になって、日向。音無と違って、彼はここに来て長い時を過ごしている。
「どうにかして、一緒に居られれば良いんだけどな」
「俺達と、天使とが?」
「ああ」
「――音無って、妙なこと考えるよな」
「そうか……」
「ああ。でも俺、そんな音無のこと、嫌いじゃないぜ?」
「よしてくれよ」
「ははっ、照れない照れない」
 再び、ふたりで笑いあう。
「暢気ね、あなた達」
 そんなふたりの背後を取ってそう呟いたのは、他でもないSSSのリーダーであるゆりであった。
「もういいのか、ゆり」
「そこの日向君だってもうぴんぴんしてるでしょ。そりゃさっきまで血がぬるぬるして気持ち悪かったし、服は穴だらけだし……あーもう、こっちは新調しなくちゃ駄目ね」
「いいじゃん。色っぽいぜ、ゆりっぺ」
 伝線だらけのニーソックスに視線を向けて、軽い調子で日向。
「血塗れで色っぽいも湿っぽいも無いわよ」
「はは、確かに」
「さてお双方、そちらがお暇なら身体を動かして頂ける?。音無君は痛みでショック状態になっていたり、貧血気味になっている子の搬送を手伝ってあげて。日向君は壊れた武器や備品の回収」
「わかった」
「了解了解」
 音無と日向が、がグラウンドへと階段を駆け降りていく。そんなふたりをゆりは見送って――、
「これからが、難しくなるわね……」
 ぽつりとそう呟いた。

 どうにかして、一緒に居られれば良いんだけどな。

 その、音無の言葉を思い出す。
 天使との、共存。其れは可能か否か――。
「そう簡単に行けば苦労しないわよ、まったく……」
 自らもグラウンドに降りながら、ゆりはひとりそう呟く。
 やるべきことは、まだまだ多い。



Fin.




あとがきはこちら








































「実は上記の想像は全て真実……うっそっぴょーん……」
「――っっっ……!」(キャラを逸脱した台詞回しが恥ずかしかったらしい)











































あとがき



 AngelBeats!天使編でした。
 天使が麻婆を食べたときに「美味いわ」と言ったことで今回の話は生まれました。要するに、とあるお嬢様を思い出した訳なんですが予想以上にしっくりきたというかなんというか……。そう言えば、天使の髪の色とお嬢様のボディカラーがほぼ一緒ですね^^。
 ただまぁ何というか、全編コメディでいくはずだったんですが微妙にシリアスが混じってしまいました。まぁ、いいか……。
 さて次回ですが、ゆりに焦点を当てられれば。

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