警告。AngelBeats!を観ていないしていない人は
ブラウザのバックボタンで戻ってください。

このお話は、AngelBeats!四話前後まで視聴されていること前提で書いてあります。

それでも読む方は方はここをクリックするか、
ガンガンスクロールさせてください。






































「ユイのかちこみラジオ改めゲリラ・ラジオ、略してゲリララ! 本日のお便りは――」
「下痢・ララ?」
「妙なところで区切るんじゃねぇー!」
「おうっ! み、鳩尾に入れやがったなこの……」
「――仲いいな、お前ら」




























































































  

  


「罰ゲームよ」
「罰ゲーム、か?」
「そう、罰ゲーム」
 で、あるらしかった。



『トリオ・ザ・SSS』



 過日、SSSは球技大会に対し数チームに分けて多方面から介入、優勝をかっさらうはずであったのだが、結果として天使率いる野球部によって編成された特別チームに惨敗。作戦は失敗した。
 この件に関して、関係者の貌は暗かった。
 作戦の前にゆりが言っていたことを、思い出していたためである。
 負けたら、罰ゲーム。
 それは新入りの音無を除く、ほぼ全員が体験済みであるらしい。
 そのためか、ゆりの前に並ぶ彼らは、まるでお通夜にでも臨むような面構えであった。大半が、お通夜で偲ばれた側であったはずなのであるが。
「ゆり、その罰ゲームだけどさ」
 代表するように、音無が訊く。
「参加したメンバー全員が、か?」
「本来なら、ね」
 椅子の背もたれを軋ませて、ゆり。
「でも今回天使は卑怯にも本職である野球部を投入してきたわ。SSS(しっと団も 嫉妬する 戦線)がいくら強者揃いでも――」
「今回はまた凄い名前だな」
「……投票で決まったのよ。民主主義ってたまに暴走するから困りものよね」
 と、ゆりの問題発言。もっとも、こっちの世界では民主主義もへったくれも無いようなものである。
「話を戻すわよ。百戦錬磨のSSSでも、あんなのが相手じゃかないっこない。まぁ、けちょんけちょんに負けたっていうんなら話は別だけど……」
 そう言いながら、ゆりはレポート用紙にまとめられた各チームのスコアとおぼしきデータをめくっていく。
「結果をみる限りじゃ、どのチームも善戦していたみたいだしね。もっとも、うちに元野球部がいるっていうなら、話は別だけど」
 途端、日向がぴくりと動いた。音無が訊く限りでは、彼は野球部に所属していたらしい。そこが気になって、音無がちらっと日向をみてみると……。
(言うなよ、絶対に言うなよ!)
 ものすごく必死なアイコンタクトであった。
(大丈夫、言わないよ)
(ありがとうっ。俺達、死んでも友達でいような!)
(もう死んでるって)
 元々、ゆりに告げるつもりはない音無である。あのフライをキャッチしていたら、日向が消えたかもしれない。本人は否定していたが、音無にとってそれは未だに拭い去れない不安の種であった。つまり再び野球を作戦に持ち込まれて、同じ境遇に陥ることだけは避けたかったのである。
「――ということで、今回球技大会に参加したメンバーには、基本的に罰ゲームは無し、よ」
 と、ゆり。途端、音には聞こえなかったが全員が安堵のため息をついていた。
「……でもね」
 ゆりはゆっくりと立ち上がって言う。
「あなた達は、別だからね」
 そう言って、ゆりが交互に指さしたのは――日向とユイであった。
「……だよな」
「音無ぃ!?」
「いや、だって弁解できないし」
 音無が参加していた日向のチームは、決勝まで勝ち進んでいた。その成績は、善戦どころか最後の最後まで点数差で勝っていたのである。
 そして迎えた9回、簡単なセカンドフライを日向がキャッチすることで全ては終わるはずであったのだが……。
 それまで日向にいじくり倒されていたユイが突如逆襲。おおいに溜飲を下げたのであった。
 ボールはもちろん、グラウンドに落下。無論、それを見逃す義理は天使達には無い。これっぽっちも。
 かくして、日向チームは内部による夫婦漫才によって、逆転敗北を喫したのである。
 そして、それまでの試合の流れで有頂天であったゆりは怒髪天を衝いていた。
「そう言う訳であなた達、そんなに夫婦漫才がしたいのなら――」
 ある意味天使の対極に位置する者にふさわしい凶々しい笑みを浮かべて、ゆりは続ける。
「存分になさい。ただし、学食でガルデモの代わりに、ね」
「……りょうかーい」
「異議なーし」
 諦めの境地に達した貌で、日向とユイが頭を下げる。
「ん、素直なのはとってもよいわ。それで日向君」
「へいへい、なんでしょ」
「メイド服とスクール水着とチャイナドレス、どれを着たい?」
「どれも嫌だよっ」
「それじゃナースとOLと婦警、どれがいい?」
「どれも無しだっての。いきなり何の話だよ、ゆりっぺ」
「そりゃあもちろん、漫才の衣装よ」
 と、ゆり。
「まじか……」
 日向がこの世の終わりだと言わんばかりに頭を抱える。
「はいっ! こっちは男装ですね。ばっちこいです!」
 対照的に元気なのは、ユイであった。
「フフン、男装ならえっちな格好はありませんからね! 要はコスプレ、楽勝楽勝っ!」
 そんなユイに、そう。と、ゆりはひとつ頷き、
「じゃあ、力士の格好でお願いね」
「褌一丁じゃないですかっ!」
「いいじゃない。その長い髪で前隠せるでしょ」
 昔の少年誌じゃよく使った手法よ。と、ゆり。
「あ、でも大銀杏結うから無理か」
「お色気系だと思ったのに純粋に笑いに走るんですねっ! っていうかそんなの只の露出魔じゃないですかぁ! やらせるならそっちの男子ふたりにしましょうよぉ!」
 ふむ、と一息置いて、ゆりが音無と日向を見た。続いて日向も、音無を見る。
「俺……音無とならやれるぜ!」
「俺はやらないからな。っていうかそもそも俺は対象じゃないし」
 っていうか何が悲しくて力士の格好で漫才しないといけないんだよ、と音無。
「っていうかな、ゆり。何だってコスプレなんだ……?」
「ただの漫才なら、あのふたり素でやるでしょ。それならなんらかのコスプレさせるしかないじゃない。それも普通のだとやっぱり素で着そうだから、おもいっきりインパクト重視で行くしかない訳よ」
「だからって力士はあんまりですよぅ! 鬼っ! 悪魔っ! 魔王っ!」
「ふふん、SSSのリーダーがその程度の罵倒に屈するわけなじゃない」
「サディストっ! ファシストっ! 涼み――」
「今何て言ったぁ!?」
 天使の瞬間移動もかくやといった勢いで、ゆりがユイの背後に回り、関節技を仕掛ける。
「あいつ、最後何て言おうとしたんだろうな」
「さぁ、ゆりっぺにとっちゃ逆鱗だったみたいだが……」
 暢気に音無と日向が話す中、ぎりぎりぎりぎりとユイの関節が悲鳴を上げていく。
「……どうでもいいけど、女同士の寝技ってなんかエロいな」
「かけられている方が窒息しかかっているというか、窒息しているけどな」
「わ・か・って・い・る・な・ら・た・す・け・ろぉ……」
 その言葉を最後に、ユイの頭はがくりと落ちたのだった。



 数日後。
「じゃじゃーん!」
「うわぁ……」
 学習棟A棟、空き教室。漫才に使う衣装が決定したというので、音無はその試着につきあっていた。
「どうです?」
「あー、いやまぁ……女子はそっちに落ち着いたのか」
 所謂バニーガールである。
 ただしユイは網タイツを省き、いつも脚に着けているパンクファッションにしてあった。その代わり、尻尾はスーツに付いている兎のものを使用している。
「いざ着てみるといいものですねっ」
 ちなみにスーツの色は黒。ある意味ユイのカラーであった。
「んなこと言ってると、ゆりにもっと過激なもの着せられるぞ」
「流石にそれ以上はしないわよ」
「うわっ」
 着付けに一緒に入っていたゆりに音無が思わず声を上げたのには、ちゃんと理由がある。
「なんで、お前もバニーなんだ?」
 そう、ゆりもバニーガールの格好になっていたのだ。ちなみにこちらは一部の隙もない完全無欠のバニーである。なお、色は白であった。
「そりゃ作戦が失敗したんだから、トップが責任を取るものでしょ? それなら私もやるべきだわ」
 チョークの位置を調整しながら、そう答えるゆり。
「ゆり……お前、ドロンジョみたいなドクロべーかと思っていたけど、違うんだな」
「どういう例えよ!?」
「……いや、凄いなって話さ」
「何がよ」
「……いや、なんでも」
 それを無意識にやっているのだとしたら、ゆりは天性のリーダーなのだろう。そう思う音無である。
「しかし、白兎と黒兎……か」
 好対象のふたりを眺めながら、音無。
「まぁ黒は普段から使ってるからこっちは違和感無いですし」
 と、得意気に両手を腰に当てて胸を張り、ユイが言う。
「それにそちらが黒だとまたそっくりだって――ががが……!」
「だからっ、『例のあの人』の名前を持ち出すんじゃないっ!」
「ゆりの逆鱗は闇の帝王なのか……」
 ヴォルデモート卿も吃驚である。
「いや、ポッターさんとこのハリーの話は関係ないと思うぜ?」
 音無の背後で日向がそう言う。
「しかしバニーで地獄固めって、すげぇエロいな」
「ああ、何というか眼福だな」
「こっ・ち・は・い・た・い・ん・じゃ・あ!」
 そう言う割には意外と余裕そうなユイであった。
「ところで日向、着替え終わったんならそう声をかけて――ってお前」
 このとき、記憶がなくても脳は揺れるものなのだと音無は始めて自覚した。
「あ、赤兎……だと?」
「ようやく気付いたか」
 少し拗ねたような貌で、日向。
「っていうか俺の脳がその格好を意図的に無視していたみたいなんだが……似合っているぞ、日向!」
 もはや、やけくそと言った様子の音無である。
「俺はお前とやりたかったよ、音無! ちなみにその場合お前が青兎なっ!」
 地上波であればモザイクものの構図であった。
「あ、すね毛は全て剃ってもらいました。見苦しいので」
 おかしな位置で曲がった肩の関節を元に戻しながら、ユイがそんなことを言う。
「いや聞きたくないからそんなこと」
「お前のために……剃ったんだぜ?」
「そんな理由で剃るなよ頼むから」
「ほらそこのふたり、いつまでじゃれあっているのよ」
 ユイへのお仕置きで乱れた服装を正しながら、ゆりがそういう。
「でも、巧く行くのか? 外したら陽動の意味が……」
 食い込んだスーツを直す様を見てしまい、視線を逸らしながら音無。
「それは問題無いわ」
 両腕を組み、ゆりが不敵に笑う。
「だって、この日まで徹底的にしごいたもの。ね、ふたりとも?」
 途端、日向とユイが震えだした。
「だ、大丈夫か日向……」
 心配になった音無が日向の肩に触れる。
 途端、あらぬ場所を指さして日向が叫んだ。
「目指せ! レッドカーペット満点大笑い!」
「……志が低く感じられるんだが、何でなんだろうな」
 続いてユイが、
「いまだったら……K−1グランプリ、取れます!」
「それを言うなら、M−1だろ」
 Kー1は野田か松下五段に任せておけよ……と言いたくなる音無である。
「ね? 平気でしょ?」
 どうだとばかりに、そう訊くゆり。
「ああ、お前が地獄の特訓をしたことだけは、よくわかった」
 その内容と成果はさっぱりであるが。
「まぁつかみは問題無いわ。のっけの名乗りで三人目が三波春男でございますって言えば勝ったも同然よ」
「ものすごく、不安なんだが……」
 胃の辺りを押さえて、音無。前にも勝ったも同然とゆりが宣言して、惨敗したためである。
「それじゃふたりとも、準備はいいわね。『オペレーション・トルネードアナザー』、スタート! 一般生徒と、あわよくば天使を笑いの渦に叩き込むわよ」
「心配だ……」
 一抹の不安が拭えない音無である。



 こうして実施されたオペレーション・トルネードアナザーであるが、音無の心配を余所に意外と大盛況であった。
 ローテを組んでガルデモと交互に出しますか? と、割と真面目に遊佐が訊いたほどである。
 ゆりもユイも、まんざらではなかったが……、
 ぽろりをやらかしてしまった日向が死ぬほど嫌がったので、この話は流れたのであった。
 意外と逞しいですね、とはユイの弁である。



Fin.




あとがきはこちら









































「……取り締まらなくちゃ……ぷぷっ――」
「――っ……(吹き出してしまったのが、かなり恥ずかしかったらしい)」











































あとがき



 AngelBeats!罰ゲーム編でした。
 ゆりが不敵な貌をして宣言しており、SSSのメンバーも妙にはりきっていたので相当なものなんでしょうけど、本編には出てきそうにないのでちょっと想像してみました。これが実際よりぬるいのかきついのか――まさに神のみぞ知るといったところですね。
 さて次回は……誰かをメインにしてみたいなーと思います。

Back

Top