或る昼休み(2001.12.16)
「ん〜……」
「詩子」
「ん〜……」
「詩子」
「ん〜……」
「……詩子!」
「うあ、あ、茜。なに?」
昼休みの校庭、いつもの昼食の場である。
「何じゃなくて、……どうしたんですか?」
「どうしたって、何が?」
「元気がなさそうです」
「ん〜……ちょっとね」
実は、昨日何気なく買ったTVゲームが予想以上に面白く、徹夜してしまったのである。
もちろん茜には言っていない。
「そうですか……」
弁当箱を片づけながら、なにやら思案顔の茜は、
「ちょっと後ろ向いてもらえますか?」
「へ?いいけど……」
珍しく何か提案してきた茜にとまどいながらも後ろを向く詩子。すると――、
「うわ!茜――?」
後ろからぎゅっと抱きしめられた。そしてそのまま呟くように話しかけてくる。
「いつもして貰っているから……そのお礼です」
いつも自分がしている事ながら、思わず赤面してしまう。しばらくして、そっと離れた
茜を見てみると、案の定、茹で蛸のように真っ赤になっていた。
「元気、出ましたか?」
「――うん、サンキュ、茜」
時々、わざと落ち込むのも良いかもしれない。ちょっとだけ罪悪感を感じながら、詩子はそう思ったみたのだった。
Fin
あとがき
えっと、某所に援護射撃として送り込んだSSです。結果はどうなったかな?