超警告。CLANNADの隠しシナリオをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「いよいよ明日です。胸がドキドキして来ました……」
「一緒に頑張ろうね、お母さん」


























































  

  


「やっぱり恥ずかしくないですか? 藤林先生」
「何言ってるのよ、今回の面子で一番肌が若いの、汐ちゃんなんだからね」
 仕事からの帰り、玄関のドアを開けようとした直前、扉越しにそんな声が聞こえた。
 なんだ、こんな時間に女同士のファッションショーか? ドアノブにかけた手を止めて、俺はそう思う。
 だとしたら、不用意に入ると不味いことが起きるかもしれない。例えば、着替え中だったり……いやいや、しっかり者の汐に限ってそんなことは無いか。
「ただいま」
 そんな計算の末、俺は声と同時に速攻でドアを開けていた。もしかしたらと思ってしまったことは、一応白状しておく。
「あ、お帰りなさい。おとーさん」
 仁王立ちで両手を腰に当てたまま、スポーティな格好で振り返る汐。
 そう。ブルマを履いた俺の娘が、姿見の前で仁王立ちしていた。



『臨時編成、だんごエンジェルズ』



「……どうも俺は夢を見ているようだ」
「へ?」
「寝付いた記憶は無いんだが、夢というものはそうらしいからな。それとも疲れか? やっぱ四十近いからな、疲れているんだな。ははは」
「夢じゃ無いと思うけど。多分」
「だとすればだ」
 俺はシリアス貌で言う。
「今日何かあったのか?」
「え? あーうん。正確には、これからある――かな?」
「なんだそりゃ」
「えっとね――」
「あらお帰り、朋也」
 そこで寝室側で何かをしていた杏が顔を出す。
「お、お前なぁ……」
 シリアス貌がもたない俺。何故なら、杏もブルマだったからだ。
「何よ、どうしたの?」
「あ、いや――」
 いつもと違い、ポニーテールに結った長い髪を揺らして首を傾げる杏に、俺は言葉を濁す。いや、いい年して何やってるんだ? と言った途端、俺の頭蓋骨が粉砕骨折される気がしたのだ。
「まぁいいけど、汐ちゃん借りていくわよ。言っとくけど、本人の了承済みだからね」
「そりゃいいが、何にだよ」
「ママさんバレー」
「……ママさんバレー?」
「ええ、そうよ」
「……ママさん?」
「悪かったわねっ! 独身でっ! 確かに生んで無いわよ結婚して無いわよ文句あるっ!?」
「ご、御免なさい……」
 ちゃぶ台を踏み壊しかねない杏の勢いに、思わず謝る俺。
「でもお前と汐じゃ、数足りなくないか?」
「心配しないで、もうメンツは確保済みよ。すんごいのをね」
 にやりと笑う杏の背後で、脱衣所の蛇腹扉が開き、
「ふむ、学生時代のものがまだ使えるとはな。体型が変わっていなくて良かった」
 風呂場にある脱衣所を更衣室代わりに使ったのだろう。智代が満足そうに出てきた。
 そしてその後に続いて――、
「学生時代の体操服……なつかしいの」
「こ、こ、ことみもか……」
 汐のプロポーションについては、いくらでも色眼鏡で見られて語れる俺であったが、はっきり言ってことみの方がすごかった。さらに今は薄着なもんだから――いや、俺も一児の父親だ。これ以上は言うまい。
「でもお前、バレー出来るのか?」
「バレーボールのサーブは曲線、シュートは直線なの。だから球速と投げた角度さえわかれば着地点が容易に計算できるの」
「おぉ、流石ことみちゃん……」
「頼りにしてるわよ、ことみ」
「頑張るの」
 汐と杏の声援に、両手の握りこぶしを胸に押し付けて、ことみ。
 ――恐らくなんだが、ことみは球速と投射角をすぐに計算できるだろう。ただ、身体は絶対追いつかない気がする。
「しかしまぁ、錚々たるメンツだな……」
 そう言いながら、ちゃぶ台に座る俺。
 ……む。汐達が立っているので、視線を真正面に向けると皆のブルマが丁度目の前に――。
「おとーさん……」
「ど、どうした?」
「なんか、目付きが――」
「え!?」
 慌てて目尻を吊り上げる、俺。そこへ杏が悪戯半分、呆れ顔半分といった様子で、
「……お盛んね」
「やかましいっ!」
「朋也。ちょっと近所を走って昇華して来い。それと一ノ瀬、裾が伸びるぞ」
「でも、何か急に恥ずかしくなったの……」
 裾を出しているのは、ことみだけだった。それを精一杯引っ張って、ブルマを隠そうとしている。ただ、思いっきり引っ張るものだから智代が言う通り伸びそうだし、それに、
「ことみちゃんことみちゃん、胸、胸がすごい強調されてるっ!」
 汐の言う通り、すげえことになっていた。これ以上は一児の父親云々以前に、ひとりの男性として表現しかねる。
 ただ、黒はやばいと思った。
「こ、これがヤマアラシのジレンマなの……?」
 身体全体を硬直させて、ことみ。
「いや、俺に聞かれても……」
 正直、困る。
「ところで、朋也」
 両腕を組んで、智代が訊く。
「伊吹がな、汐の着替えが終わってからずっとこうなんだが」
「あー……」
 実は最初から気付いていた。
 というか、ちゃぶ台の横で棒立ちになったままドリーム入っていたので、放っておいたのだ。
「汐、風子が向こうにイって何分経った?」
「ん、十五分くらい?」
「じゃあ、そろそろ戻るだろ」
「そ、そういうものなのか?」
 汐や杏ほど付き合いが長くないからだろう、納得しきれていない貌で、智代がそう言う。
 そこへ、飛んでいた風子の目の焦点が結ばれた。
「眼福です。風子、やる気が東京ドーム一杯分位出て来ました」
 戻って早々、危ない感想を述べる風子だった。
「それよりあんた、経験上の話だけど、タイツの上にブルマじゃ脚全体が蒸れるわよ」
 呆れ貌の杏の忠告に、
「ご心配には及びません」
 自信満々に風子は返す。
「風子、補欠を希望しますので」
「……あっそ」
 覇気のかけらも無い風子だった。
「みなさーん、準備はできましたかー?」
 そこへ、戸口からそんな声がかかる。
 見れば早苗さんと、公子さんだった。
 古河パンで着替えて来たのだろう、上はジャージで、下は……裾で見えないものの、太腿が露になっているところを見ると、ブルマらしい。
「そろそろ試合会場に行きますよー」
 ……どこまでも若い、ふたりだった。
「おとーさん、応援しに行く?」
 思わず遠い目になってしまった俺に、汐がそう訊く。
「いや、いいよ」
 杏、智代、それに汐だ。勝つのは目に見えていた。
「うん、じゃあ行って来ます」
「ああ」
「優勝トロフィー、楽しみに待ってなさいよ」
「おう」
「行ってくる」
「気をつけろよ」
「頑張ってくるの」
「怪我しないようにな」
「では岡崎さん、風子汐ちゃんのブルマ、たっぷりと拝んで来ますので」
「お前はもう少し頑張れ」
 最後に早苗さんと公子さんに挨拶をして、俺は玄関のドアを閉めた。
 とりあえず普段着に着替えてから、夕飯の用意をしようとエプロンを手に取り、
「やっぱ応援に行けばよかったかな?」
 渚の写真立てに向かってそう訊いてしまう次の瞬間、ものすごい勢いで爆走する車が近付いてくる音、次いで男ふたり分の足音が見事にシンクロされたままものすごい勢いで近付いて来て、
「居るか小僧!」
「居るか岡崎!」
 戸口に立って居たのは、オッサンと芳野さんという珍しい組み合わせだった。
「応援に行くぞ、コラ。40秒で支度しろ!」
「今からかよっ」
「早苗のっ、ブルマだぞっ!」
「さっき見たよっ!」
 後、前に運動会で見たことがある。
「あぁ、俺も見た。だがもっと見たいだろうがよ!?」
 邪念バリバリのオッサンだった。
「芳野さん、そこの色ボケなオッサンに言ってやってください。応援ならもっと」
「悪い岡崎」
 珍しいことに、芳野さんが俺の話を遮る。
「俺、公子のブルマ見るの初めてなんだ」
「……はい?」
「思えば学生時代、教師だった公子は体育の時間もジャージの上下だった。だから、これを逃せば俺は多分一生後悔することになる……あの時、公子のブルマをしっかりと見ておけばよかったと、何時の日かきっと――!」
 無駄に格好良い、邪念バリバリの芳野さんだった。
「そういう訳だ、てめーもこい小僧!」
「いや、ちょ、まっ」
「車は既に回してある。行くぞ岡崎っ!」
「えええええっ!?」
 困惑する俺の襟首をオッサンが、上腕を芳野さんが掴み――俺は成す術も無く会社のバンに連れ込まれ、応援に向かうことになってしまった。明日も仕事だし、まだ夕飯も食って無いし、それなりに疲れていたが……。

 まぁいいか、ブルマだし。



Fin.




あとがきはこちら













































「朋也くんっ! 最後のブルマだしって、一体なんですかっ!」
「いやまぁ。それより明日から始まるAFTERでお前のブルマは……無理だろうなぁ」
「……謝ればいいのか、怒ればいいのか、判断に迷いますっ」





































あとがき



 ○十七歳外伝、趣味に走りまくり編でした。
 明日はアニメ第二期だぜーとかテンション上げて居たら、いつもより早いペースで書くことが出来ました。趣味に走りまくりましたが。
 実際問題、第二期で拝めるといいなゲフンゲフン。
 さて次回は予告通り杏のシリアス目か……もしかするとこの話の続きかも知れません。

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