超警告。CLANNADの隠しシナリオをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「そう言えば、アニメで水着に着替えたの智代だけか。アフターで渚のをたっぷり拝みたいところだが……」
「ごめんなさい、ちょっと無理のような気がします……」
「……そうだな」
























































  

  





『深夜の暑気払い』



 水滴の落ちる微かな音で目が覚めた。
 夜、炎天下だった昼の割にはそれほど寝苦しくない深夜。俺、岡崎朋也はかけていた薄手の毛布を除けて上半身を起こす。
 隣では、タオルケットにくるまった今年で十八になる娘の汐がぐっすりと眠っていた。普段であれば今の音で目を覚ましていたであろうが、日中に学校のプールでさんざ泳ぎ倒していたせいか、寝返りすることも無くすやすやと眠り続けている。
 再び、水滴の落ちる音。
 俺はそっと立ち上がり、水場、続いて風呂場を見て回った。けれど水道の栓はちっとも緩んでいなくて水一滴落ちる隙も無い。
 ――はて。
 布団の上まで戻り、首を傾げる。
 三度、水滴の落ちる音。
 それは、外から聞こえた。

 外――学校のプールから。

 気が付けば昼間と同じ水着姿で、俺はプールサイドに立っていた。もちろん、辺りに人の気配は無い。
 それなのに、間近で水滴の落ちる音が聞こえた。
「朋也くん」
 続いて響くその懐かしい声の許に、俺は視線を向ける。そこ――プールを挟んだ真向かい――には水着姿の渚が、水に脚を浸しながら座っていた。
「――渚」
 返事の代わりに、水滴の落ちる音。
 そう、それは渚が水面を掬った指先から、零れ落ちる滴が奏でる音だった。
「久しぶり、かな」
「はい、お久しぶりです。朋也くん」
 どこか大人びた(確かに年上なのだが)目で、渚が答える。
「なぁ、そんな処にいないでこっちに来いよ」
 返事の代わりに、渚は腰を少しだけ浮かせて、プールの中に消えた。
 慌てて水面を覗き込むと、渚はほっそりとした肢体をしなやかに伸ばして、こっち側まで潜水で泳いできていた。
 程無くして、静かに水から上がる。
「吃驚したぞ。泳げるんだな、お前」
 手を差し伸べて引き上げながら、苦笑しつつ俺。。
「朋也くん失礼です。『泳げない』と『泳がない』は違います」
「ははっ、悪い悪い」
 手で謝りながらプールサイドに腰を下ろし、同じように座った渚の濡れた頭にそっと手を置く。
「やっぱりサイズがぴったりだな」
「何がですか?」
「水着」
 途端、渚の頬にぱっと朱が散った。
「……そこは、ちょっと複雑です」
 わずかに口先を尖らせ、自分の胸元に手をやりつつ渚。
 昼間、汐がちょっとした手違いで渚の水着を着てしまうというアクシデントがあった。その際汐は、母親を上回るスタイルであることを図らずも披露してしまったのだ。要は、あちこちがきつくて大変だったということだけの話だった訳だが。
「気にするなって」
「気にしてませんっ、ませんけど……」
「つまりさ、汐は俺達が思っている以上に成長しているって事なんだよ」
「……あ。そう、ですね……」
 一変して、嬉しそうに頷く渚に、俺もつい頬を緩めてしまう。
 ――渚の笑顔が、久しぶりに観られたので。
「ま、それより泳ごうぜ」
「はい」
 ひんやりと冷たい水の中に入り、次いで一気に潜水する。すぐ側には、同じく水中に潜った渚が居た。そのまま息の続く限り水中を泳いでから、同時に水面に頭を出して、お互いに笑う。
「……悪くないな、こういうの」
 ふたりで脚を水に浸しながらプールサイドに腰掛け、俺。
「わたしも、こんなに泳いだの初めてです」
 わずかに目を細めて、渚がそう言う。
「そうか……そいつは良かった」
 その手を、そっと握る。
 すると、渚は俺の肩に頭を預けてくれた。
 その頭を、俺は昔のようにそっと撫でる。
 見上げると、雲ひとつ無い夏の夜空に、綺麗な月が浮かんでいた。



■ ■ ■



 どこからが夢だったのだろうか。
 気が付いたら布団の中にいた。
 俺はゆっくりと薄手の毛布を払いのける。
 既に汐は起きていて、いつも通りの大きなTシャツにスパッツという格好のまま、窓辺に吊り下げた物干しを何故かじっと見つめていた。
「おはよう」
「おはよう、おとーさん」
 俺には顔を向けず、眉間に皺を寄せたまま物干しを見つめ続ける汐。
「どうした、難しい貌をして」
 妙に体温が下がっていた体をさすりつつ起き上がると、汐は依然視線を固定させたまま腕を組んで、
「わたしの水着だけ、乾きが早いのよ。どっちかというと、おとーさんとお母さんの水着の乾きが遅いみたいなんだけど」
「……ふーん」
 素材の違いかな? そう訊く汐に、多分そうなんじゃないか? と俺は答えた。
 ――本心は、全く別の処にあったのだが、今は内緒にしておこうと思う。



Fin.




あとがきはこちら













































「アニメでわたしの水着姿はみられるかな?
「いや、お前は絶対無理だから」





































あとがき



 ○十七歳外伝、渚が水着に着替えたら編でした。
 という訳で前回の予告通り渚が登場した訳ですが、結構話の流れに悩んでしまいまして一回まるっと書き直していたりします。かてて加えて腰痛が襲ってきたりと、私的に波瀾万丈な一遍でありました。
 さて次回は――未定でございます;

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