超警告。リトルバスターズをクリアしていない人は
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このお話は、史上希にみるすさまじいまでのネタバレ前提で書いてあります。

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「ま、またわたくしの出番がありませんの!?」
「いいじゃないのよ、別にもう」
















































  

  


「女の子なら、毬子ちゃんかな」
 パスタをフォークに絡ませながら、小毬さんはそう言った。
 ある日の昼休み。いつも通りに食堂でバスターズの皆とお昼をとっていたときのこと。誰かが子供の名前を付けるとしたらどんな名前にするかという話題を持ち出して、小毬さんはそんな回答を返したのだった。
「毬子ちゃんか。良い響きだな」
 照り焼きハンバーグ(日変わりメニュー)に手を付けながら、鈴がそんな感想を述べる。
「それじゃ、男の子ならどんな名前にするの?」
 と、僕もクラブサンドを齧りながら訊いてみた。
「男の子? え〜と、そうだねー……」
 考えていなかったらしい。小毬さんはフォークを置いて、真面目に考え始め――。
「みつけたよ母さんっ!」
 そんな声が、食堂の入り口から盛大に響いた。
「母さん?」
 力うどん大盛り+餅×3をずぞぞとすすりながら、真人。
「何故保護者が食堂に?」
 おにぎりを置いて、謙吾が首を傾げる。
 ほかの皆も首を傾げる中、その声の主――男子生徒はズカズカと食堂の中を突き進み、何故か僕達の座るテーブルの前で立ち止まった。
 その視線の先には……訝しげに顔を上げる、鈴が。
「母さんっ」
「……」
 警戒しているのだろう。鈴は相手に対し上目使いのまま、黙っている。
「ええと。君、誰?」
 だから、代わりに僕が声をかけた。すると男子生徒は小さく息を吸い――。
「僕は――僕は棗鈴の息子の、ローレンスですっ!」
「な、なにぃ!?」
 先ほどの大音声にも負けず劣らず、鈴の悲鳴が木霊する。



『その名はローレンス』



「え、え、え、ええと……」
 悲鳴を上げたきり硬直した鈴に対しものすごく困った貌で、小毬さんが口火を切った。
「鈴ちゃん、お子さんがいたんだねぇ」
「ご、ご、ごごご、御懐妊、おめでとうございますっ!」
 完全に動転したクドが、完全に間違った祝福をする。
「いやさ、こまりんもクド公もさ、」
「少々落ち着きたまえ」
 呆れてそう言ったのは葉留佳さんと来ヶ谷さんで、
「そうですよ、皆さん」
 さらに、西園さんが――、
「鈴さんが、実は三十代という可能性も――」
「ないわぼけぇーっ!」
 我に返った鈴に怒られていた。
「あたしはこんなでかい子供を生んだ覚えはない!」
「でかくなかったらあるんだ!?」
 思わず突っ込みを入れてしまうと、
「……でかくなくても、ないっ」
 多少頬を赤らめて、鈴。
「でも、僕は母さんの息子なんですよっ」
 と、男子生徒。
「ちょっと、状況を整理してみようか……」
 若干動転したせいで良くわからないことを口走りつつ、僕はこの場を執成すことにした。
 こういう時に頼りになるはずの謙吾と真人は先ほどの鈴よろしく凍り付いたように固まっている。特に真人は、うどんをすすったままという時を止めたような格好で、顔色がどんどん悪くなっていくのを見るに麺か餅が喉に詰まっているようだった。
「君……ローレンス君?」
 とりあえず、そう名乗った男子生徒にテーブルの空いている席を勧めながら、僕。
「あの、失礼かもしれないけどさ。君、実は恭介――でしょ?」
 そう、濃い髪の色で気付かなかったけど、じっくりと観ればすぐわかる。顔立ちも背丈も、恭介そっくりなのだ。大方、鈴や皆を驚かすために、恭介が髪を染めるか何かして――、
「俺がどうかしたか?」
 今日は死ぬほど食いたいという朝の宣言通り、トレイの上に焼きそばパンをこれでもかと山盛りにした恭介が、いつの間にか僕のすぐ後にいた。
「……あれ?」
 テーブルの席にはローレンス君が依然座っている。
「きょ、恭介がふたり?」
「……理樹。お前は何を言って――うおっ。お、俺がいる?」
「ちがいますよっ」
 と、ローレンス君。
「僕は間違いなくローレンスという名前で、棗鈴の息子なんですっ」
「は……?」
 恭介が、固まった。
「済まないが、誰か説明してくれ。わけがわからん」
 そりゃまぁ、そうだろう。僕は手短に――必要な情報が集まっていないので、文字通り――事情を説明した。
「なるほど、つまりは俺の甥ってことだな。で、ローレンス。なんで未来にいるはずのお前がわざわざ俺達の学生時代にやって来たんだ?」
「もちろん、ちゃんと理由があります」
 と、深刻そうに目を細め、ローレンス君。
「僕は僕の名前を、まっとうなものに変えてもらいたくてこの時代にやって来たんです」
「それは、感心できないな」
 腕組みをしつつ、鈴がそう答えた。
「親から貰ったものは大事にしろ」
「その大事な名前にローレンスなんて付けたの、どこの誰さ!?」
「――あたしなのか?」
「だからそうだってば!」
 疲れたかのように、こめかみを揉むローレンス君。
「いいか、ローレンス」
 そこで焼きそばパンをあらかた食べ終わった恭介が挙手し、ローレンス君に問いかける。
「なんでまたそれらを説明しなければならないデメリットを背負って、此処まで来た?」
「だから取り消しを求めて来たんですよ、恭介叔父さん」
「そんなのお前の時代のあたしに言えば良いだろう」
 恭助の代わりにものすごい正論を、鈴。
「駄目なんだよ。時間旅行が一般化されてから、改名についてはそれを思いついた日から一年以内に取り消して貰わなくちゃならないんだ」
 ……ええと、それはまた、
「面倒臭い法律を作った奴もいるもんだなぁ」
 呆れたように恭介がぼやく。
「貴方ですよ」
 と、ローレンス君。
「何が」
「だから作ったのは貴方ですよ! 恭介叔父さんっ」
「……え、俺?」
 持っていた最後の焼きそばパンで自分を指さしつつ、恭介。
「すごいね恭介くん。法律作れるくらい偉くなっちゃうんだ」
 ぱちぱちぱちと、手を鳴らしながら葉留佳さん。
「尊敬します〜」
 と、同じポーズでクド。
「おうっ、ありがとうなっ!」
 そんなふたりに、恭介は嬉しそうににかっと笑って応える。多分、本当に嬉しいのだろう。
「アホだな」
 ――鈴が容赦なく、断じたけど。
「さぁ母さん。わかってくれたら早速――」
 そう言って、ローレンス君は懐から一枚の書類を取り出す。
「……先に言っておくが、あたしはこういうの苦手だ」
 嫌なものを見たと言った感じで、眉根を寄せながら鈴がそう言う。
「知ってるよ。こういうのはいつだって最終的には父さんに頼んでいるし――」
「それだっ!」
 来ヶ谷さんが突如立ち上がり、人差し指をローレンス君に突き付けた。
「何か引っ掛かると思っていたが、我ながら重要なことを聞きそびれていたぞ!」
「な、何でしょう?」
 突然のことだったので驚いたのだろう。若干裏返った声でローレンス君が聞き返す。
「問おう。君の父親、つまり鈴君の旦那は一体誰かね?」
 その次の瞬間、何故か鈴を除く女性陣の貌に緊張の色が浮かんだ。
 そして、その空気を予想していたかのように、ローレンス君は淡々と、
「それは――母さんから口止めされていますので」
「ほぅ。それは一体何故か?」
「母さんが言っていました。『あの時のみんなにそれを話すと、血の雨が降るだろう。あとくるがやに注意しろ。命が惜しければな』ってしまった!」
 後半は、明らかにオフレコものだったに違いない。その素直さは実に親子っぽかった。
「ほほぅ――命が惜しければ、か。面白いことを言うなぁ、鈴君」
「待てっ。あたしは言っていない! 少なくとも今の時点じゃ言ってないっ! だからそのくすぐり棒をしまえーっ!」
「ふはははは、未来への禍根は今すぐ断つべきものなのだよ!」
「ふにゃー!」
「……そういうことをしているから、注意しろと言われたのでは?」
 西園さんの鋭い突っ込みだった。その一言で、巨大猫じゃらしで鈴を翻弄していた来ヶ谷さんはぴたりと手を止めると、咳払いをひとつして、
「……まぁいい。言わないのならこちらから推理するまで、だ」
「え」
 ローレンス君の声が、予想外の事態に震える。
「まずは髪の色。続いて目の色。どれも鈴君とは違っているからそれは父親からだろう。その濃い色から似ているとすると――まず父親候補は」
「うわぁ。流石来ヶ谷のおばさん、解析が速い……」
 思わず感嘆の声を上げるローレンス君。それが――、
「待てこの野郎。誰がおばさんだ」
 失言二号だと知らずに片手で吊るされることになっても。
「す、済みません来ヶ谷のお姉さん――あ、そうだ。メモを預かっています。過去の私へと」
「……ほぅ。未来の私がか」
 興味深げに、おとなしくメモを受け取る来ヶ谷さん。だけど文面に目を落とした途端、その口許が大きく歪む。
「何て書いてあったの?」
 僕がそう訊くと、
「――いや、それがな」
 珍しく、来ヶ谷さんは躊躇するそぶりを見せ――程なくして、それを皆に見せてくれた。
『安心したまえ、ローレンス君の父親はこの中にいる』
 ……ええと、それはつまり。
「鈴さんの結婚相手がわたし達以外という、無難な線が切れましたね」
 微かに呆れた表情を浮かべ、西園さんがそう言う。
「ふ、ふはははは。流石私と言ったところか」
「火に油注いでいますけどネ」
 葉留佳さんの言うことも尤もな話だった。
「あのさ、みんな――」
「――それくらいにしましょうよ」
 僕の言葉を、自然とローレンス君が引き継いでくれた。
「皆さんの立場に身を置き換えてみてください。たとえ好きだとしても、将来一緒になる相手が決まっていたら、窮屈に感じてしまうでしょう?」
「――正論だな」
 と、来ヶ谷さん。
「わかった。これ以上の詮索は無しにしよう。皆もそれでいいかね?」
 一も二もない。僕らは皆、頷いてそれに答えた。
「ところでローレンス」
 と、鈴。
「なんでまた、お前はローレンス何て名前を付けられたんだ?」
「……あのさ、付けたのは母さんだからね。ついでに言うと母さんは間違いなく自分の子供にローレンスと名付けることを決めているんだ」
「そのことについてだが、あたしには全く覚えがない」
「だから、そんなわけがないんだってば」
 ほとほと困った貌で、頭の後ろを掻くローレンス君。この様子だと、彼が本来いる時代でも相当苦労していそうだった。
「実は、来る時間を間違ったってオチはない?」
 と、僕は指摘してみる。
「そんなことないですよっ! 時間旅行初期に自分から志願したのに時の流れをしっちゃかめっちゃかにした揚げ句、パラレルワールド――可能性の世界――を6万個も増やした葉留佳おばさんじゃあるまいし」
「な、なんだってー!」
 ……自分で自分のすることに、葉留佳さんは驚いていた。
「そんなことをするのか、君は」
「わ、私じゃないですヨ。やったのは未来の私! ってアレ? まままマジで!?」
「ある意味尊敬してしまいます……」
 と、クドがとどめを刺し、葉留佳さんは撃沈した。
 流石にこれは、可哀想だと思う。誰だって自分がこれからすることを暴かれたくはないだろう。
「――いいか?」
 そこへ挙手したのは、意外なことに今までずっと固まっていた謙吾だった。
「前に俺は、ローレンスという名前を聞いたことがある。理樹も、真人も、そして鈴も聞いたはずだ。というか、言ったのは鈴だしな。だが、何故その名前にしたのかがわからんが」
 そうだっけ? というように、こちらもいつの間にか素に戻った真人が僕を見る。
 そして僕も首を傾げ……思い出した。
 確かに、謙吾に対して僕と鈴と真人で策を巡らした時に鈴は子供役の人形に対しこう呼んでいた。『ローレンス』と……。
「って、本当にそれ自分の子供の名前にしちゃったんだ!?」
「しちゃったんですよっ!!」
 と、ローレンス君。
「そ、それはなんというか――」
 かける言葉が、見つからない。
「母さん曰くですね――」
 自分のお腹を痛めて生んだ自分の子を、ローレンスと言う名にすると宣言した鈴は、こう続けたらしい。
 あの時、自分の意志で付けた名前だから、と。
「ううっ、良い話ですネ……!」
「ちいっとも良くありませんからっ!」
 と、嘘泣きする葉留佳さんに真面目な貌でローレンス君。
「僕としては、普通の名前で良いんです。だって、完全に日本人なのにローレンスですよ、ローレンス!」
「未来で流行っている訳じゃないのな」
 と、恭介。
「当たり前じゃないですか。お陰で幼稚園小学校中学校と大変だったんです」
「苦労したな、お前」
「だからそんな名前にしたの母さんだって!」
 ローレンス君の突っ込みは、最高潮に達しているようだった。
「で、代わりの名前を決めてきたのか?」
「え?」
「ローレンスが嫌なのはわかった。だからその代わりだ」
「…………あ、そうか」
 どうも、取り消すことだけで頭の中が一杯だったらしい。ローレンス君は、ポンと両手を打ち鳴らして、
「どうしよう――考えていなかった……」
 何か激しく落ち込んでいる。
「こういうところは、鈴ちゃんのお子さんだねぇ」
 と、呟くように小毬さん。
「新しい名前、今決めないと行けないのか?」
 少し心配そうに、鈴が訊く。
「え、あ、いや、そんなことはないけど……」
 と、ローレンス君。すると鈴は、ふと目許を緩めて、
「新しい名前は、向こうのあたしと一緒に決めるといい。もちろん、お前の父親――あたしの結婚相手ともだ。何だったら、バカ兄貴やこまりちゃん達と一緒でもいい」
「……うん、そうだね。そうするよ」
 そう言って、ローレンス君は初めて笑った。
「それじゃ母さん、此処にサインを」
「うん」
 多少拙いながらも、渡されたペンで署名をする鈴。
「一応、文面見せてね」
 そう申し出て、念のため確認する僕。――うん、特に問題はない。何とか大臣、棗恭介とか書かれているところは、意図的に無視しておくことにする。
 僕は黙って書類をローレンス君に手渡した。するとローレンス君は、その書類を大事そうにしまって、
「ありがとう、母さん。それじゃ僕、もといた時代に帰るね」
「なに? もう帰るのか?」
 ちょっと意外そうに鈴が問い返す。
「うん。自分が未来から来たと宣言した場合、その滞在時間はすごく短くなるんだ。だから、ね」
「そうか……ローレンス。ひとつだけ、教えてくれ」
「なに? 母さん」
「みんな、元気か?」
「……うん。元気だよ」
「そうか。良かった」
 腕を組んで、鈴は嬉しそうに頷く。
「それじゃ、元気で」
「うん。お前もな」
 こうして、ローレンス君は食堂から――そしておそらく、僕らの時代から――去っていった。



「……理樹」
 放課後、いつものように練習をするため皆とグラウンドへ向かう途中で、鈴が僕に声をかけた。
「なに?」
「あたしの結婚相手は、誰だろう?」
「気にはなるんだね。やっぱり」
 思わず苦笑してしまう。
「理樹は気にならないのか?」
 ちょっと拗ねたような貌で、鈴。
「そりゃ気になるけどさ。でもそれを今知ってしまったら、きっとつまらないよ」
「なに? そうか?」
「そうそう」
 肩のバットを担ぎなおして、僕。
「こまりちゃんは、どう思う?」
「え? 私? ――うん、理樹君と同じかな」
「なに? こまりちゃんもか?」
「うん、そうだよー。だって、未来は私達のものだもん。いつか来るその日を楽しみに、それまでわくわくしながら我慢、なのです」
 諭すように、小毬さんはそう言う。
「なるほど……そう言われると、そんな気もするな」
 納得したらしい。鈴は難しいパズルを解いた後みたいに肩をぐるんと一回転させてから、
「そういえばこまりちゃん」
「うん? なにー?」
「昼休みに理樹が訊いていた話だ。こまりちゃんの子供が男の子なら、何て名前を付けるんだ?」
「男の子なら? う〜ん……」
 小毬さんは頤に指を当てると、
「毬生君!」
 ――うわぁ。
「マリオはないだろう、マリオは」
「イタリア人デスか?」
「まんまみーやの人ですねっ」
「うん? おかしい、かな?」
 みんなが即座に突っ込んだ理由がわからないのだろう。小毬さんは不思議そうに首を傾げている。
「こ、小毬さん。そんな名前を付けたらさっきのローレンス君のように――」
 遅かった。
「おい、誰かがマウンドに立っているぞ」
 恭介が、呟く。
 そう。マウンドには黒い髪の小毬さんのような男の子が何故かグローブ片手に立っていて、僕らの姿を見つけるなり、
「見つけたよっお母さん!」
 ああほら、やっぱり……。



Fin.




あとがきはこちら













































「来ヶ谷アワーのお時間ですヨ。シャカシャカヘイッ!」
「……いやもう好きにしてくれ。さぁて、今回のお題だが……何かないかな、美魚君」
「Rewriteの話など、いかがでしょうか」
「うーん、それはちょっと早すぎやしないか?」
「では、7月25日発売の『リトルバスターズエクスタシー』の販促方法を考えるというのはどうでしょうか」
「それだ、それでいこう。と言う訳で良いアイディアがある者から挙手」
「はいはいはーい」
「うむ、葉留佳君」
「こまりんを脱がします」
「えええええぇ!?」
「――採用」
「うえええええん! なんで私だけええええ!」
「そうだ。小毬ちゃんだけじゃ可哀想だろう、はるか」
「じゃ、鈴ちゃんも」
「――あたしは遠慮する」
「うわーん! 鈴ちゃんが逃〜げ〜た〜!」
「ふふふー」
「んー、なーんか嬉しそうじゃんクド公」
「はいっ。何故なら私は年齢的に問題があるのでそう言うこととは無縁だからですっ」
「多分そこら辺の設定は無かったことになると思うがな。君も私も同い年、と言う訳だ」
「っていうか、無印本編で一番あられもない格好をしたの、クド公じゃん」
「わふーっ! それを言われると困りますー!」
「というわけで次だ」
「はい」
「うん、美魚君どうぞ」
「初回限定として、直枝さん×恭介さん、宮沢さん、井ノ原さんが可能な追加ディスクを――」
「いやちょっと待て」
「……いけませんか?」
「それみおちんの趣味じゃんかー!」
「……だから、いけませんか?」
「なんか美魚君の顔が怖いから次行こう」
「はい」
「鈴君か。どうぞ」
「等身大ドルジの縫いぐるみをおまけにつけるのはどうだ。しかもお腹にファスナーがついていて、そこにほかの猫たちの縫いぐるみをすべて詰め込めるようになっていて、とってもお得だ」
「――いや鈴君、それはちょっと」
「何かグロいですヨ」
「なにぃ? そんなことは、そんなことは……うっ、あるかもしれないな……」
「そ、想像しちゃったんだね鈴ちゃん……」
「他には?」
「わふー、ベルカ・いん・ストレルカの縫いぐるみを考えていたので私はパスですー」
「それはパイルフォーメーションみたいでおもしろそうだがな」
「はいっ!」
「トリは小毬君か。どうぞ」
「私の髪飾りと同じものをプレゼント、というのはどうかな?」
「おおっ! それなんか予約特典として実際にやりそう!」
「確かに良さげだな」
「わふーっ! 思わずつけたくなってしまいそうですっ」
「確かに、あれはリボンにもなるから便利だぞ」
「……そうですね。よく似合うと思います。――直枝さん、とか」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「うわあああああん! なんで理樹君ー!?」
「……いけませんか?」
「いや。いけなくはないがね。ただ、おねーさん理性が抑えられそうか自信がないな」
「なんか怖い落ちがついちゃいましたネ」




































あとがき



 とてもアバウトなリトバスタイムトラベルでした。
 四コマ漫画の方では、小毬の娘である毬子が出てきますが、鈴だとどうだろう……と考えて今回の話は生まれました。実際のところ、どうなるんでしょうねぇ。
 あと、本編では伏せましたが鈴の旦那はある程度イメージを固めています。それが誰かは、姐御のヒントと、『彼』の言動を見ていれば大まかにわかるのではないでしょうか。
 さて次回は……風紀委員長、かな?(二回目ー)




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