『霊霊刀、妖魔刀 ~続・春霞の人形』(2006.12.05)

「こんにちは」
 ある晴れた日の午後、マーガトロイド邸に響く魂魄妖夢の声に、家の主であるアリス・マーガトロイドは軽く首を傾げた。
 妖夢のほかに、微弱ながらもうひとつの気配があったためである。
「開いてるわよ。今キッチンに居るわ」
 正体不明の気配とは言え、妖夢と一緒に居るのだ。害を与える者ではないと判断し、アリスは少し大きめの声でそう返答した。丁度焼き菓子の仕上げに入っていたので、火元から離れたくなかったというのもある。
「わかりました。そっちに行きます」
 案の定、足音はふたつであった。但し、ただの足音ではなく片方が随分と体重が軽い。しかも、この軽さには……覚えがある。
 と、足音は戸口まで近づいて、
「お邪魔します」
 妖夢が顔を出した。続いて――、
「……あら」 続きを読む →

『藤原妹紅と蓬莱山輝夜の、屈辱』(2006.02.02)

 五色の弾丸をかい潜り、走る。
 今日は些か分が悪かった。文字通り山で柴刈りをしている時に背後から一発食らったのだ。
 くそ、たまたま見つけた茸に気を取られるんじゃなかったと、藤原妹紅は舌打ちしつつ、なおも弾丸を避けて行く。
 こちらから反撃らしい反撃が出来ないのには、訳がある。低木が多い山の中腹、しかも空気が程よく乾燥した冬の日だ。妹紅が追っ手を倒せるだけの炎を放ったら最後、山が丸まるひとつ焼けてしまう。
 対する相手は文字通り、弾丸。そこらの人妖では軌道を読む前に食らっているであろうそれはしかし、妹紅が前に見た時よりも弾速が遅かった。
 おちょくっているな。妹紅はそう思い、軽く舌打ちをする。 続きを読む →