『里村茜の探索』(2009.08.01) 

「里村さんっ」
 その、ほとほと困りきった友人の声で里村茜は振り返った。
 教室、その放課後。クラスメイト達はあちらこちらで部活動の用意、あるいは帰り支度を済ませようとしている。
 かく言う茜も、帰宅組のひとりであった。
「どうしました? 長森さん」
 呼びかけて来た声の主――長森瑞佳に応え、片付けの手を止めて茜。
「えっと、浩平見なかった?」 続きを読む →

『里村茜と七月のラプソディー』(2008.07.18) 

 七月。長かった梅雨が明け、暑い日差しが照り出した初夏のことである。
 里村茜は土曜日の日中を利用して、診療所を訪れていた。
 ここのところ、どことなく体調が優れなかったためである。
「大きな病気というわけではありませんな」
 と、診断があらかた終わり、カルテに何かを書き込みながら初老の医師はそう言った。
「というと……」
 ブラウスのボタンを留めながら、茜が問う。 続きを読む →

『続・里村茜嬢の二律背反的な悩み』(2001.10.10)

あらすじ:甘いものの食べ過ぎで、体重が増えた里村茜。具体的に何キロ増えたのかは秘密らしい。

 昼休みが終わりに近づく中、どうにか教室は平穏を取り戻していた。長森瑞佳と七瀬留美と里村茜が揃って、『折原浩平がご迷惑をおかけしまして……』と頭を下げたところ、『彼なら仕方がない』と教室一同が納得したためである。一発目は明らかに茜が原因なのだが、発言の原因を浩平と言うことにして、彼のせいにしておこうという、乙女3人の密約が発動したのであった。……二発目は明らかに浩平の茜に対する失言が原因で、それで一気に3人を敵に回したことになったとはいえ、つくづく女性というものは恐い。
「でも、確かにそれは控えた方がいいわ。私も剣道辞めたときウエイト対策に悩まされたもん。ねえ、瑞佳?」 続きを読む →