『白鳥、再び』(2008.03.17)

 その日の土曜日は、朝からリトルバスターズの練習だった。
 恭介曰く、ものすごく筋のある、ついでに馬も合いそうな対戦相手が見つかった――らしい。
 詳細は詳しく聞いていないのでそれ以上はわからないけれど、近いうちに試合があるという話そのものは皆に伝わったようで、自然練習にもそれなりの緊張感が漲っていた。
 ちなみに練習内容は変わらない。鈴がピッチャーで、僕がバッター。
 ただし、鈴の制球だけはあの頃とは違ってストライクゾーンを滅多に外さなくなっていて、僕もまぁ、そんなに変な方向には球を飛ばしたりは――、
「ファール!」
 恭介の声が響いた。まだ、僕の方には問題が山積みらしい。
 打球を目で追う。ファールだけあって誰の守備範囲でもない落下地点――バスターズ結成時は、小毬さんやクドがピクニックをしていた樹の陰――には、クリップボードに何かを書き込んでいる西園さんの姿があった。
「西園さん、ボール!」
 僕は叫ぶ。すると、西園さんは承知ばかりに日傘で弾くように両手を動かした。
 もう、日傘は差していないのに。
 当然ボールは弾かれる事なく、西園さんの頭部に当たり、西園さんはそのまま崩れるように倒れてしまう。
「に、西園さんっ!」 続きを読む →

直枝理樹の誕生日(2018.01.17)

「理樹くん、誕生日おめでとう!」
「ありがとう。小毬さん」
「それでお洋服をプレゼントなんだけど——」
「メイド服とかはやめてね」
「……」
「メイド服とかはやめてね」
「……よぅし!」
「仕切り直してもメイド服とかはやめてね」
「聞かなかったことにしよう」
「そうくるんだ!?」
#HBDkey