『はじまりの坂? おわりの坂?』(2018.03.31)

「うーん……」
 あの坂を上りながら、今年十七歳の汐は何とも言えない声をあげていた。
 春の日曜日。お互いとくにやることもなかったのだが、汐がちょっと出歩かないと誘った場所が、ここだった。
 今は桜が咲き誇っている。例年より少し早めに満開になったようだ。
「ふーむ……」
「さっきから変な声が出てるぞ、汐」 続きを読む →

『いまさらながらの、岡崎家』(2018.02.17)

「なぁ岡崎、僕らって友達だよね」
「えっ」
「『えっ』ってなんですかねぇ!?」
「えっ」
「汐ちゃんまでその反応なの!? 地味に刺さるんだけどそれっ!」
「いやだってお前、渚よりつきあい長いのに……なぁ、汐?」
「うん。ずっと、ともだちだとおもってた……」
「あれ? これ僕がダメな質問しちゃったやつ? 嬉しいけどなんだか複雑!」
「なんだか、かわいい……」
「——汐、あした藤林のところにいくぞ。春原が可愛く見えているんならちゃんと診てもらわないと」
「あんたなにひどいこといってるんですかねぇ!?」
「えっ、お前自分がかわいいと思っているのか?」
「思っているわけないじゃん!?」
「かわいいのに……」
「褒めてくれるのは嬉しいけどね、汐ちゃん。でも僕に惚れちゃダメだぜ?」
「うん。それはない」
「だよな。汐」
「うん」
「あんたら本当に父娘ですねぇ!?」
#key版深夜のお絵描き60分一本勝負

『サンタコス、上から見るか下から見るか』(2017.12.23)

「ちわーす! 岡崎、汐ちゃん、メリークリスマ——」
「だーかーらー、こういうときはズボンいらないのよ! そのために裾長くしたんだから!」
「だめだ! 汐のサンタ服には色気とかアピールポイントとかそういうのは要らん! 絶対にズボンをはかせるぞ!」
「おふたりともわかっていません。サンタさんの衣裳には黒タイツです」 続きを読む →

『とある日の、先生と生徒の会話』(2017.12.02)

「恋はいいわよ、汐ちゃん」
「せんせいも、したことある?」
「あるわよ。ふられちゃったけどね」
「かなしくない?」
「最初はね。でも今はこうして汐ちゃんと出会えて感謝しているわ」
「うん?」
「ふふ。汐ちゃんが大きくなったら、自然とわかるわよ」
#key版深夜のお絵描き60分一本勝負

恋ってそもそもなんなんですかね?(2017.11.18)

「友利は、恋とかしたことあるのか?」

「ああ、泥を抜いたものは美味しいですよね。甘露煮とか、鯉濃とか」

「それじゃない」

「今はそういう暇ないです。ひとりでも科学者連中から守るべきですから」 「じゃあ、みんな助けたら——」

「そんときゃ考えます……よ」