ドラテクその2


<逆バンク>

みなさんは、コースのライン取りをどうやって決めていますか?
単に速そうな人が通っているラインを真似してみたり、インベタのタイトターンは難しいから、とバンクに当ててみたりしてませんか?


私の場合、速い人が通っているからという理由で、そのラインを真似ることはほとんどありません。
コーナーの前後どちらかにダブルジャンプがあり、それを飛ばないと致命的で、飛ぶためにはバンクを通らざるを得ない場合にはバンクを使いますが、そうでない場合には基本的にインを通ります。
(本当にインベタのときもあるし、インを一瞬かすめるだけの場合もある)
そうしてみて、バンクを通るよりも明らかに遅ければ、バンクを通るラインに変更します。
あくまでも、自分の考えでラインを選択するのです。

そうすれば、自然と人と違うラインとなるセクションが現れ、そこで相手を抜くことができるはずです。
単に真似をしていたのでは、付いていくことはできても、抜くことはできません。

さて、そのような考えを押し進めると、コーナーでの自由度が大切になってきます。
バンクを使えば人より速く走れるライダーでも、バンクがない、あるいはイン側のやや逆バンクぎみのラインを通った方が速い場合、手も足もでないといった状況が出てきます。
実際、一番外側のバンクより内側が、逆バンクになっているコーナーはけっこうあるようです。

が、逆バンクが得意というライダーはこれまた少ないように見受けられます。
なぜか?
逆バンクでは、通常のコーナーのように早めにアクセルを開け、リアをややスライドさせながら立ち上がるなど、おそらくだれがやっても不可能なのに、それを実行しようとするからではないかと思います。

では、その逆バンクの走り方とはどんなものなのか?
それは、コーナー内でアクセルをほとんど開けない(進入時もブレーキをあまりかけない)、タイヤのグリップに頼る(最大限引き出す)走りです。
ただし、人より速く走るためには進入スピードをかなり速めに保つ必要があります。
(オーバースピードになった場合は、フロントを気持ちスライドさせながら外に膨らませて転倒を防ぐ)

ただでさえ不安定になりやすい進入時のスピードを、逆バンクで速めに保つなど、いったいどうやるのか?
それは、進入時のシッティング移行のスムーズさと座るポジション、移行完了時の上体の前傾度にポイントがあります。
逆バンクではなるべく早めに移行を開始し、座るポジションはかなり前方、上体の前傾度はやや後傾にします。
感覚的には、ほとんど前輪に乗るといった感じで、リアはおまけです。

移行のスムーズさを身につけるのは、非常に難しく、一朝一夕にはいかないと思いますが、これを体得すれば、コーナーのライン取りが自由自在になり、レースでのパッシングに必ず役立つと思います。
また、この走りは逆バンクに限らず、フラットコーナー進入時の安定度にも貢献し、確実に転倒が減るはずです。

ただし、この走りは、セオリーに従った最速コーナーリング方法ではないので、こればかり練習しているとフラットコーナーやバンクでアクセルを開けるのがおそくなりがちですし、雨の日は通用しませんのでご注意ください。
(私は、これでひどい目に会いました)

なお、シッティング移行というのは何なのかよくわからないという方は、渡辺明先生のベストテクビデオシリーズ(続基礎編、基礎完結編)を参照して下さい。