ドラテクその10


<下見と公式練習>

今回もいわゆるライテクではありません。しかし、レースにおいてはとても重要なことです。即実践可能ですから、実行しましょう。


みなさんは、レース当日の朝、コースの下見をしていますか?

私は欠かしたことがありません。どんなに走り慣れたコースであっても、たとえ前日にそこで練習していても、必ず入念な下見をします。唯一下見を怠ったのが、クラッシュした名阪でした(一応、クラッシュしたジャンプ付近だけは見たのですが・・・)。

モトクロスコースはレイアウトの変更はなくても、その日によってバンクの状態、土のしめり具合、ギャップの消され具合、ジャンプの角度などが異なります。自分の実力を1ラップ目から100%引き出すためには、それらを全てインプットし、走り方を考えておく必要があると思います。もちろん、そこで生じる差は僅かなものです。

しかし、あなたは今までに前走者の2秒遅れとかの差でゴールし、悔しい思いをしたことはありませんか? その2秒の差は、1周当たりわずか0.2秒程の差ではないですか? そのほんの少しの差が、例えば7位と6位入賞との差をつくっているのかもしれません。

「私の出番は午後からだから」と言う人もいるでしょう。ならば、昼休みには必ず下見をするべきでしょう。実際、NB125の決勝が午後からだったときは、昼休みにも下見しました。気になるところ、パッシングポイント等は、何度も行ったり来たりしながら、納得がいくまでイメトレをしました。


さて、下見をすればそれでよいか?

そんなことはありません。あなたは練習日の朝一、いきなり全開走行しますか? 最初からいつものペースで走れますか?

無理でしょう。レースもそれと同じです。どんなに下見をしていても、それはいわば机上論です。実践できなければ何の意味もありません。公式練習の1周目から全力走行をしても、それはその時の全力であって、リズムを掴めばもっといつものように速く走れるはずです。乗れていない状態で最初から全力走行をしても、そこらじゅうでオーバースピードになり、転倒はしなかったとしても恐怖感のようなものだけが残り体は固くなって、周回毎にペースダウンを余儀なくされ、結果としていつものスピードを再現できないままに練習走行を終えることになるでしょう。

では、どうするのか?

まず1周目はなめる。流す。下見の時の路面状況の判断が正しそうか確認する。2周目からは飛んでもよいけど、まだ抑えぎみに走る。そうやって乗れてくるのを感じながら徐々にペースアップするのです。本当の全力走行など、ラスト1周か2周できれば十分です。ともかく体を慣らしながら、最終的にいつものスピードで走れるようになることが重要なのです。

また、どうしても飛びたいのだけど、いつもすんなりは飛べないジャンプがあるならば、そこに重点を置いて練習するのもよいでしょう。ただし、公式練習時は台数が多いために、飛びたくても飛べないことが多々あります。その場合には、わざとチンタラ走って、そのセクション進入時には邪魔者がいなくなるような工夫も必要です。もちろん、パッシングラインのテストも必要です。


公式練習には無駄に全力走行している時間など全くないのがお分かり頂けましたか?


レースは普段の練習だけでなく、そこに至るまでの過程全ての結果であり、逆に、今まで手を抜いていた箇所があるならば、それを改善するだけで結果も改善される可能性が高いわけです。

自分の力を余すとこなく発揮できるよう、万全の体勢で望みましょう。

それで負けたら、また出直せばよいのです。